BAPA展直前 両校長緊急対談—朴正義(バスキュール)×伊藤直樹(PARTY)【後編】

これまでのBAPA(バパ)の活動を振り返る、バスキュールの朴正義さんとPARTYの伊藤直樹さんの対談の後編です。良いアイデアを考え、一つに決める方法を教えるのは難しい、という伊藤さん。生徒たちと2時間話してアイデアをブラッシュアップしたという朴さんは、経験のある人が話を整理し、リードしてあげることで誰でもいい企画がつくれるようになると言います。そして、7月26・27日の卒業制作展に向けた意気込みとは。

「すごいアイデア」にこだわらなくていい

— BAPAをやってみて、教えやすいと思ったこと、逆に教えにくいと思ったことはありますか?

伊藤直樹(以下、伊藤) アイデアを固める技術を教えるのはなかなか難しいですね。指摘はできるんですけど、メソッドが確立しているわけではないので、最終的には自力で考えてもらうしかないんです。「この企画、落ちがなくて中途半端だな」と思っても、「落ち」をどう考えればいいのかは教えられない。普段の仕事で企画がいまいちだと思ったときは、自分で考えたアイデアを言ってしまうんですよ。でも講師という立場でそれはできません。それは答えを言ってしまうことと同じだから。

朴正義(以下、朴) そうですね。そこ、難しいですよね。

伊藤 どうしようもなく行き詰まってしまっているときは、アイデアをあえて言っちゃう時もあるんですけどね。僕が「こういうアイデアがある。どうだ、おもしろいだろう!」と言うと、生徒たちにとってはそのアイデアが良くも悪くも基準のサンプルになるんです。目標にもなるし、それには似ないように避ける目印にもなる。ただぼんやり考えるより、「あのアイデアは絶対まねたくない! でも、おもしろいんだよな……。くそー! じゃあどうしたらいいんだろう」って考えるほうが前進できます(笑)。

 なるほどね。今回、生徒たちの話を聞いていて思ったのは、変わったアイデアを出さなきゃいけないと思っている人が多い、ということ。アイデアはシンプルで、それをより力強いものにするために、とにかくすごいものをつくろうっていうチームがもっとあってもよかったかな、と思っています。奇抜なアイデアで勝負しようと悩んでいるチームに、「自分たちの特技は何だと思う?」って聞くと、別に斬新な企画を出すことじゃなかったりするんですよね(笑)。

伊藤 うん、うん。

 自分たちの強みを合わせてシナジーを出すことに目が向かず、すごいアイデアがないと出発できないと思っているのかもしれない。僕は、デザイナーでもエンジニアでもないから、アイデアを出すことが多いけど、みんながみんなそうでなくてもいいと思っています。自分たちのいいところを最大限出すにはどうすればいいのか、と素直に考えてもいいと思うんです。

伊藤 せっかくBAPAに参加しているんだから、得意ではないことをやろうという思いがあるのかもしれませんね。

 それも悪いことではないんですけどね。少し前に、ものすごく悩んで企画が止まってしまったチームがいて、講義とは別の日にバスキュールに来てもらったんです。

 そこで、チームメンバー一人ひとりに、個人的にやりたいことやこれまで考えてはボツにしてきた企画でたどり着きたいことなどを掘り下げて聞いて、整理してみました。いろいろな要素を因数分解していくと、「これでいいじゃん」というアイデアがその場でようやく見つかってきて。それをやる前は「最後まで企画が決まらなかったら、チーム替えも検討しないといけないかも」と心配していたのですが、話し終わってからは「このチーム、いいところいっぱいあるじゃん!」となったんですよ。

伊藤 へえ、そんなことやってたんですね。どれくらい話を聞いたんですか?

朴 2時間近くみっちり(笑)。しかも、僕と馬場鑑平くんと原ノブオくん※1の3人で。
※1 馬場鑑平さん、原ノブオさん、ともにバスキュールのクリエイティブ・ディレクター

伊藤 うわー! それは豪華ですね!

「なんとかなる」という自信を身につけるために

 掘り下げていくと、プロセスの途中でいい案がたくさんあったんですよ。で、それを捨てた理由を聞くと、それで捨てちゃうのはもったいないなというのもあって。自分たちの考えていることの因数分解ができてないまま、次に移っちゃっているので、それまでのプロセスが資産になってないんですよね。

伊藤 わかります。

 だから、これまで考えた案も全部教えてもらって、整理していけばどのチームもいい企画がつくれるかもしれない。ただ、全チームやるとなると相当大変ですけどね(笑)。

伊藤 講義のあとにみんなで飲むBAPA Barは、そういう場になってますよね。朴さんも僕も、PARTYの中村洋基も、その場で一つのチームの話をガーッと聞いて、整理していくということをやっています。講義として話すのではなく、個別に聞かないとダメなんですよね。

 BAPA Barは、他にはなかなかないおもしろい関わり方かもしれないですね。

— メンターに相談することを薦めていると聞きました。

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デザインとプログラミング。両方のスキルを兼ね備える、次世代型スーパークリエイターの育成を目指す学校ができました。“Both Art and Programming Academy”、その名もBAPA(バパ)! デザインや広告などのクリ...もっと読む

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