本がおもしろいかどうかは、頭から5ページを読めば分かる
—— 世の中にはたくさんの本があり、今でも次から次へと新刊が発行されます。出口さんはどのようにして「おもしろい本」「良書」を見極めていらっしゃるのですか?
出口治明会長兼CEO(以下、敬称略にて) 以前は、毎週のように本屋で2-3時間ぶらぶらして、本を選んでいました。おもしろそうな本があれば全部買う、と。選び方は、まず頭から5ページほど読む。5ページ読めば、おもしろいかどうかが分かります。all or nothingしかないです。5ページ読んでおもしろければ、全部買っていました。
—— 本屋を徹底的に使うのですね。私も本屋は好きですが、2-3時間はすごい(笑)。本屋で読む本を選ぶ際に、テーマなどは決めて探すのでしょうか。
出口 テーマは設定しません。HONZ(※)を見てもらえばわかるように、歴史、小説、哲学、ビジネスもあれば生物学もあるし、宇宙論もある。ジャンルは問わず、どんな本でも読みます。判断基準は、おもしろいかどうかだけ。それがすべてです。他にはありません。
※ 読むに値する「おすすめ本」のみを紹介している書評サイト。出口さんも客員として本の紹介をしています
—— 頭から5ページを読むだけで、おもしろいかどうかが分かるものなのですか?
出口 大体分かります。本を書く人は「読んでほしい」と思って書くはずです。そうすると、最初に力を入れるはず。あたまの部分がおもしろくなければ、その後もおもしろいはずがありません。合コンでも最初からがんばるでしょ。
—— (笑)。たしかに。
出口 それと同じです。ただ、この本の探し方は、時間がないとできません。ライフネット生命をつくってからは、ベンチャー企業の経営はとても忙しいので、本屋へ行く時間を捻出できなくなってしまいました。ぼくは今、自分の人生の中で一番長く会社で過しています。それほど時間がない。そこで活用しているのが、新聞の書評欄です。
—— 新聞の書評欄。どんな新聞を読まれているのですか?
出口 私は前職の若いころから、発行部数の多い順に読売・朝日・日経の3紙をずっと購読しています。新聞の書評欄は実にハズレがない。それは有名な先生が署名入りで書いているからです。極めて役立つ情報源になっていますので、これを読んでおもしろいものがあれば、その場で図書館に注文します。図書館で何か月も待ってしまうようであれば、買います。書評で選んだものが最近読む本の7-8割を占めていますね。
—— 残りの2-3割は。
出口 友達のすすめや、贈呈していただいた本や、図書館に本をとりに行った際に目にしたものなどですね。これも、5ページ読んでおもしろいとおもったものだけを読みます。
1冊を徹底的に読み込み、著者の思考のプロセスを追体験することで、思考力は高まる
—— そのように選ばれた本は、どのように読み進めるのでしょうか。読み方に特徴はありますか?
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