一人になっても応援してもらえるか不安だった

19歳のときに、SKE48の初期メンバーとしてデビューした松下唯さん。「ゆいみん」のニックネームで親しまれた彼女の初個展「うさぎの国へようこそ」が、7月21日(月)から「GREEN GALLERY」(阿佐ヶ谷アニメストリート内)にて開催されます。cakesでは、この夏松下さんが見せる、アーティストとしての新たな一面に迫るインタビューをお届け。前編では、資金を集めるのに活用したクラウドファンディングの話など、開催までの道のりについて聞きました。(構成 :戸塚真琴)

アイドルがクラウドファンディングに挑戦!?

— まずは個展開催おめでとうございます。今回の個展を開催するにあたって、クラウドファンディングにチャレンジされましたよね。実際やってみてどうでしたか?

松下唯(以下、松下) ありがとうございます。当初目標金額は、自分の誕生日(7月25日)にひっかけて、72万5000円にしていたんですが、初めは正直達成できる自信がなかったです。事務所の社長とも、不安だっていう話をしていました。

— えっ、そうなんですか。

松下 やっぱりSKE48というグループからぬけて、一人になったじゃないですか。グループのいいところって、みんなのファンが集まって多くの方に応援いただけることだと思うんです。だから、いざグループを抜けてもついてきてくれる方って、やっぱり少なかったんですよ。もちろんそれでも応援しつづけてくださっている方もいるんですが、そういうなかで、歌手活動とは違った新しいことを始めようとしている自分をさらに応援してくださる方はいるんだろうかと思ってしまって。

— ファンの方の望んでいないことをやろうとしてるんじゃないかと。

松下 そうですね。ファンの方からしたら「え、なんで個展?」という感じだったと思うんですよ(笑)。やっぱり私のなかで一番優先しているのは、ファンのみなさんに喜んでいただく、というところなので、そこがちょっと心配でした。

— 結果は目標金額を3倍を上回る大成功でしたよね。

松下 本当に驚きました。しかも開始2時間で目標金額を達成して、そこにまず、すごく感動しました。

— 開始2時間で達成したんですか?

松下 はい。驚いて、私何回も画面見たんですよ。「ちょっと待てよ」って思った(笑)。でも、応援コメントをいただいたり、Twitterでも「応援しているよ」っていうリプライをたくさんいただいて、本当なんだなと実感して。それがものすごく自信になりました。私一人だけど、こんなにも応援してくれる方がいるんだって。最終的には、支援してくれた方の人数が100人を超えました。こんなにありがたいことはないです。

周囲の声が苦手意識を変えてくれた

— 松下さんはこれまで、メイド喫茶のメイド、グループアイドル、ソロでの歌手活動などを行ってきました。そうしたキャリアと絵やアクセサリーの制作活動は、すぐには結びつかないのですが……。

松下 絵は、前からちょこちょこ描いてはいたんですよ。元々うちの父が、ものを作ることがすごく好きなんですね。自分でフィギュアを作って色塗りまで全部やったりとか、絵を描いたりとかする人で。だから、父の血がすごく大きいんだなって思います。私も昔から学校の授業でも美術とか図工が好きで。料理とかも含めて、何かを作るのが好きなんですよね。

— それで前々から発表の場がほしかったんですか?

松下 いやむしろ苦手意識があって、本当に簡単なものしか描いていなかったんです。

— え、そうなんですか。

松下 少女マンガのようなイラストが描きたいのにうまく描けなくて。自分の中に「人間が下手」という思いがありました。

— それがどうして個展をやるところまで気持ちが変わったんでしょうか。

松下 本当に最近になるんですけど、ハンドメイドでいろいろと作られている方のTwitterをたまたま見る機会があって。そういう方の作品をいろいろ見るようになったのがきっかけかな? 自分もイラストを描いて自分でトレーナーにプリントしてみたりしたいな、って思ったんです。
 その気持ちが強くなったら、それまで苦手だと思っていたマンガ風のイラストも意外に描けるかもしれないと思って! 練習で描いてみたものを友達に見せたら、「可愛いよ」って言ってもらえて、自信がつきました。そこから、どんどん描き始めるようになりました。今年に入ってからかな。

— え! 今年からとは思えない。すごいですね! ということはアクセサリーも作り始めたのは最近ですか?

松下 イラストに自信を持てた後になりますね。私、興味を持ったことに関してはすごく掘り下げていくタイプなんですよ。それで、どんどん探っていっちゃうんです。絵を描いたりしていくうちに、レジンっていうのでアクセサリーを作れるんだって知ってハマりました。そのうちブレスレットも作ってみたり。そうやって、どんどん興味を掘って掘って、作って作って……って感じで。作れるものがあるならどんどん作りたいんです!

ライブペインティングで見えたもの

— クラウドファンディングの結果を見て、何か自分のなかで変わったことはありますか?

松下 これだけ多くの人が応援してくれたからには、本当にいいもの作ろうって思いましたね。なかにはクラウドファンディングがきっかけで私を知ってくれて応援してくれた方もいて。すごく嬉しかったですね。

— それだけ松下さんが応援したくなる魅力を持っているってことですよね。

松下 そうなんですかね。ビックリするくらい自分に自信がなかったので......。ライブとかもソロになった当初、お客さんが3人しかいないときもあったんですよ。「頑張らなきゃ!」って思うんだけど、そういうのを見ると気持ちがしおれそうになることもありました。だから本当にクラウドファンディングでの成功が自信になりました。そうしたら、ライブの動員数も少しずつ伸びてきたりして。それが自分の中で変わった大きなことだなって思います。

— 勇気を出してやって良かったと思いますか?

松下 本当に良かったですね。ファンのみなさんありがとう、っていう気持ちでいっぱいになりました。

— どんなときでもファンの方第一なんですね。

松下  それはメイドさんをやってたときから変わらないですね。自分に会いに来てくれた人にはすこしでも幸せになって帰ってもらいたいと思って頑張ってました。アイドルのときも、「うさぎの国からこんにちぴょん!」って挨拶をしていたので、「変な子だ」って思われていたかもしれないんですけど(笑)、それで笑ってもらえたら嬉しいなと考えていたんです。今回の個展でも、新しい一面をいろいろ見せてそれがファンのみなさんにも喜んでいただけたらいいなと思います。

— 「新しい一面」といえば、たしかクラウドファンディングの支援募集期間中にライブペインティングにも挑戦されていましたね。

松下 はい、「ニコ生」でやらせていただきました。私、しゃべることが好きなので、おしゃべりな印象があるみたいなんです。でも、ライブペインティングのときは、私はしゃべっているつもりだったんですけど、ひたすら無言で描いていたようで。その姿がすごく新鮮だったって言ってもらえました。
 一生懸命書いている姿とか、絵が仕上がっていく過程とか、新たな松下唯が見られて、おもしろかったし良かったよってコメントもいただけて。そういう新境地の開拓を個展を通してもっともっと実現したいと思っています。


創作意欲に満ちあふれる松下唯さん。後編では、松下さんの個展をプロデュースする現代アーティストの幕野まえりさんにも参加していただき、今回の個展のテーマや作品内容について、紹介していきます。


【個展開催情報】

松下唯個展「うさぎの国へようこそ」
阿佐ヶ谷アニメストリート内「GREEN GALLERY」
2014年7月21日(月)〜 8月20日(水)
12:00〜19:00 ※初日以外は毎週月曜日休廊

初日お披露目会開催! 
7月21日(月)19:00〜21:00



この連載について

アイドルが個展を開催するには—元SKE48・松下唯の挑戦

松下唯

19歳のときに、SKE48の初期メンバーとしてデビューを果たした松下唯さん。「ゆいみん」のニックネームで親しまれた彼女が、自身初の個展を、7月19日(土)から阿佐ヶ谷アニメストリート内「GREEN GALLERY」にて開催します。この...もっと読む

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コメント

crazymband 初代会長ジャン。ゆいみんじゃん。 約4年前 replyretweetfavorite

hirarisa_ 誕生日が同じってことで取材中ちょこっと盛り上がりました。 |アイドルが個展を開催するには――元SKE48・松下唯の挑戦|松下唯 https://t.co/sNLrhqaSWz 約4年前 replyretweetfavorite