前回の記事で、マレーシア人はろくに働かないのに経済成長率が日本の3倍以上だという話を書いた。一方、誰もが一生懸命に働く国、日本では、多くの人が精神を病み、世界でも突出して自殺の多い国となっている。マレーシアの自殺率は日本のわずか24分の1で、世界的な水準とくらべてもなお少ない。いったいこれは、どういうわけなんだろうか?
もちろん、マレーシアにはマレーシアなりの問題がある。
たとえば、頭脳流出が叫ばれてもうずいぶんになる。何しろマレー人優遇政策なんていう信じがたい政策があるのだ。特定の人種が法律に基づいて優遇されるなんてことが許されるのだろうか? 中華系やインド系の優秀な若者が海外に出ていってしまうのは、この政策が原因と言われている。マレーシアが途上国でいられる時間は、もう残り少ない。先進国の真似をどこかで脱却しなければならない時期が来る。だから、頭脳流出はなんとしても止めなければならない。
だが、頭脳流出問題を未解決のまま置いておいても、マレーシアの未来は決して暗いものではない。この国の出生率はまだ2.0前後で、微弱ながらも人口が増え続けているのだ。シンガポールも香港も中国も韓国も、実は日本よりも出生率が低い。ところがマレーシアだけは、まだまだ高い水準を保っている。
1975年から2012年までのアジア諸国の出生率の推移 マレーシアは高い水準を維持している
なぜマレー人の人口が増えるのか?
マレーシアは、主にマレー人、中華系、インド系の3つの人種からなる。中華系とインド系の人口は伸び悩んでいるが、マレー系の人口だけはずっと増え続けている。なぜマレー人だけ人口が増えているのか。ふたたび在マレーシア16年のN氏に尋ねてみた。
マレー系の出生率は、他の民族に比べずっと高い
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