「できないこと」をつぶしていった結果、いまがある
—— いまは生意気キャラで一気に注目を浴びていますけれども、周囲の反応はどうですか?
小宮 時々、出川哲朗さんとか狩野英孝さんのキャラと似ているんじゃないかと言われるんですけれども、それは全然違うんです。なぜなら、あの2人はすごくおもしろいので、そこには太刀打ちできないから。
相田 そうそう。僕らは結構そうやって「消去法」で考えていくことが多いんですよ。
—— といいますと?
小宮 「あ、これはできないな」と自分が思うと、自分を形成していく感じですね。漫才もそうです。「これはできないから、やめておこう」って削除していく感じです。
相田 そのキャラが似合わないとかもあるしね。たとえば、小宮は滑舌が悪いですよね。だから、普通の漫才をやったら、もっと滑舌が良い人たちがやる漫才にはかなわない。じゃあそういう漫才は僕らはやらないで、小宮の滑舌の悪さを活せるような別の漫才をやらないといけないな、と考えるわけです。
—— それこそ、「これがデキるからやろう」とかじゃなくて、「これしかできないよ」っていうので選んだのがハマった……というわけなんですね。
小宮 そうです。だから、自分の素の一面が、キャラとして評価されたというのは本当にラッキーだったなと。
「演じたキャラ」では、続かない
—— 漫才のネタはお二人で作られているんですか?
相田 小宮がほとんど一人で作ってます。
小宮 普通に日常生活をしていて、思いついたらメモるみたいな感じです。「じゃあ、いまからネタを考えよう」みたいな感じでは考えないです。なにかネタを思いついたら、携帯にメモったりとか。日頃からとにかくメモをとるクセはありますね。
—— もっと「生意気」以外の別のキャラを演じてやろうとかは思わないんですか?
小宮 うーん、やっぱり「演じる」となるとどこか無理が発生しちゃうと思うんですよね。だから、素で持っているキャラを活かせている人のほうが強いかなと思います。
相田 無理があると、続かないだろうしね。あと、なじまなかったりするし。
小宮 うん。だから、僕らはコントじゃなくて漫才をやっていて、本当によかったですね。僕じゃない役柄を演じないといけないので。漫才だったら、僕は僕自身のキャラでよいので、よかったです。
相田 歯がかけてるのも、いまでは逆にトレードマークになっているしね。
—— そういえば、小宮さんはなんで前歯がかけているんですか?
小宮 以前、終電が間に合いそうになくて、後輩と走って急いでいたんです。そうしたら前からつんのめって、コンクリートに顔から激突してしまって……。一緒に走ってた後輩が心配して落ちた歯を2本もってきて「小宮さん、大丈夫ですか?」っていってくれたんです。
相田 そのときに、一緒に足も怪我したんだよね。
小宮 そうそう。あまりに僕が血まみれでボロボロだったので、後輩が僕の顔を見て驚いてしまって。僕もそんなに驚かれちゃうとキツイから「大丈夫!」ってアピールしようとして、ガードレールの上に立ったりしようとしたら、足をぶつけてしまってひざヒビが入っちゃったんですよ。結果、松葉杖生活になってしまいました。
—— ……。ちなみに、今後この生意気キャラは漫才に活かされたりもするんでしょうか。
相田 正直、僕らはまだ漫才が評価されているわけではないので、漫才で評価されたいという気持ちはすごくあります。ただ、このキャラはバラエティ番組のひとつの扱われ方として評価されているだけなんですよね。漫才コンクールなどでも小宮のキャラをゴリゴリに押したら、全然ウケなかったりすることも多いですしね……。
小宮 そうそう。かならずしも生意気キャラが漫才でもウケるっていうわけではないんですよね。ただ、このキャラを通じて僕らのことを知ってくれる人が増えて、そして漫才にも興味を持ってくれる人がいたらいいな、って思っています。
執筆:神田桂一、撮影:小島マサヒロ
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