後編】フードが生み出す「隙間」と「反転」

長年の名作だけでなく、最近の傑作漫画を多数取り上げた『まんがキッチン おかわり』。近年同人誌出身の漫画家が増えたことは、漫画界全体のありかたに大きな影響を与えていると、福田里香さんは語ります。そして、少女漫画と少年漫画のフードにおける大きな違いとは? 福田里香さんと岡田育さんの漫画×フード女子対談、いよいよ最終回です。(構成:小池みき、会場:代官山蔦屋書店

同人出身作家の奔流が止まらない!

福田 今回の『まんがキッチン おかわり』では、同人活動を通じて商業デビューしている、いわゆるやおい二次創作出身の作家さんを前作より多く取り扱いました。ゼロ年代・10年代の漫画を見ていくと、そこに触れざるを得ないんです。むしろ積極的に触れるべきだろうと。

まんがキッチン おかわり
まんがキッチン おかわり

岡田 たしかに、二冊目は、扱っている時代的にもそういう作家さんが多くなっていますね。

福田 岡田さんも同人誌出してるんでしょ?

岡田 えっ、そこでいきなり私の話ですか? 手汗かきそう(笑)。はい、今やってるサークルは「文芸・評論」ジャンルですけど、昔は細々と、少年漫画や芸能の二次創作をしていました。

福田 いや、関係ある話なのよ。私ね、大人になって改めて気づいたことがあって。私が子ども時代に読んでいた商業誌の少女漫画って、男の目を通さずに世に出たものが一つもないんですよね。

岡田 ほうほう。

福田 ほら、私が子どもの頃って、編集長や編集者っていうのは全員男だったから。少女が読むものなのに、男がOKした作品しか世に出回っていなかったわけ。そのことに気づいたときに、もやもやした気持ちになったんです。男が嫌いってわけではなくて、そこはやっぱり半々であるべきだろうと思うんですよね。

岡田 ああ、なるほど……考えたこともなかった! 少女たちにとっての「商業」と「非商業(同人)」とを分ける境界線に、「異性」というものが立ちはだかっている。

福田 そう考えるとこの「同人誌」っていう、自分が良いと思ったものを誰の目も通さずに出せるっていうシステムがあって、女性のために良かったなって思うんです。

岡田 「少女の、少女による、少女のためだけの」漫画って、じつは商業誌では有り得なかったというわけですね。同人誌の世界って、相互発信的というか、作り手と読み手がとても近い位置にありますよね。

福田 そうなんですよ。だからコミケにも、数少ない、女性に開かれた創作の場という側面があって、そこから出てきた作家の奔流が止まらないっていうのがゼロ年代・10年代じゃないかと感じています。もちろん男性編集者が悪いとか、普通に投稿や持ち込みから作家になった人が劣っているというのではなくて、いろいろな場所から作家が出てくるようになった、ってことが重要なんじゃないかな。

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フードに隠された女子のひみつ—福田里香×岡田育対談

福田里香 /岡田育

お菓子研究家・福田里香さんのエッセイ『まんがキッチン おかわり』発売を記念した、文筆家・岡田育さんとのトークイベントの内容をcakesでもお届けします。ノンストップで目が離せない、漫画×フード女子対談です。

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コメント

cef_tom BL2次創作が好まれる理由に納得→ 約3年前 replyretweetfavorite

kimiterary こういう視点の違いほんと面白いなー 約4年前 replyretweetfavorite

yanabo 少年マンガは食べるを描かない。だから。目からウロコ」| 約4年前 replyretweetfavorite

fumix 岡田育さんと絡むとアーカイブ残るの良いな。B&Bのもアーカイブ化…なあ?w > 約4年前 replyretweetfavorite