超入門 資本論」【第8回】 資本主義経済は薄利多売ビジネスに向かっている

「超入門 資本論」では、現代のビジネスパーソンにとって必要な『資本論』のエッセンスを、使い方・活用方法と共に解説していきます。これを読み終わった時、世の中の見方が変わり、自分が踏み出すべき第一歩が見えているはずです。じつは、ぼくらが長らく悩んでいた疑問は、150年前に既にマルクスが解決していたのです!


〔PHOTO〕gettyimages

機械化が「マネしやすさ」を加速する

かつて半導体製造は、日本の「お家芸」でした。ただ、今では韓国メーカーに市場シェアを奪われています。これは、日本のノウハウがコピーされたからです。

アメリカと貿易摩擦が起きて、日本からの輸出を減らさなければいけなくなった時、日本は韓国に製造方法を伝え、「韓国経由」でアメリカに輸出すると いう作戦をとりました。これで当座をしのぐことができましたが、その代償として、製造ノウハウを韓国に流出してしまう結果となったのです。

なぜ日本のお家芸だった半導体製造技術を、韓国がいとも簡単にマネできたのか? それは、製造工程が機械化されていたからです。

アナログ商品や、いわゆる職人芸のものづくりの場合、言葉にできないノウハウや「身体で習得する」部分が多いものです。単にやり方だけ教えてもらっても、簡単にマネすることはできません。

しかし、製造工程が機械化されていれば、「プログラム」をコピーすればそれで終わりです。生産に必要な設備を導入し、製造プログラムのソフトを入れれば、それで完全に同じものが作れてしまいます。

画期的な生産方法や性能を格段に上げる技術を開発しても、その工程が機械化されている限り、それは簡単にコピーできてしまいます。これが、機械化がもたらす大きな「弊害」のひとつなのです。

製造工程が機械化されると、その商品を生産するノウハウが簡単にコピーできるようになります。つまり、マネしやすくなるということです。マネしやす くなれば、当然、マネされます。マネされれば、業界中に広まってしまい、もはや自分だけのノウハウではなくなります。ここで「特別剰余価値」がなくなって しまうのです。

もちろん、自社の技術を意図的に流出させることはないでしょう。また、製品のすべてを自社で開発・製造している企業は少ないです。取引先から、部品 を買っていたり、生産設備を買っていたりします。取引先は、A社だけでなく、B社、C社にも同様の提案をしているはずですから、結果的に、みんなが同じよ うな技術を使えるようになるのです。

そして、みんなが同じように商品を作れるようになれば、もはやその商品を高く売ることは難しくなります。つまり「コモディティ」に成り下がってしまうのです。

繰り返しになりますが、これは「生産性を高めて利益を増やそう」、「ライバルに差をつけて生き残ろう」と企業が努力した結果です。こういう努力をす ることは資本主義経済において「当然」のことです。しかし、その「当然の努力」が、やがては自社の商品をコモディティ化し、値崩れを引き起こすのです。

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