心の澱」を取り払う

大事に抱え込んでしまっていることを、思い切って「捨てる」ことで、新しい世界が見えてくる。そして、その「新しい世界のルール」のなかで、チャレンジを成功させるための秘訣とは?

PHPビジネス新書『成功体験はいらない』より、一部を公開します。

あなたは「本質」ではないことにとらわれていないか?

 古い時代の常識を捨て、新しい時代に向けてチャレンジをしたいと思っている人の背中を押し、そのチャレンジを成功させるための私なりのアドバイスをしてみたい。
 いまの世の中は恐ろしいほどに変化が激しく、競争も厳しい時代だ。一方で、これほど エキサイティングでおもしろい時代もない。だが、このおもしろい時代を十分に楽しむには、いままでの常識を捨て、再定義されつつある世界の新たな流れに合わせて自分の発想や行動のスタイルを転換しなければならない。

 とはいえ、変わるのはなかなか難しい。とくに、旧態依然とした大組織のなかにいると なおさらそう感じることが多いと思う。しかし、だからこそいえるのだが、同じ組織に長年勤めていると、心の中に「おり」のようなものが、いつの間にか溜まっていく。そしてそれが、判断力や決断力を鈍らせていく。
 社内における自分の地位や肩書き、周りからの評価、同期のなかで誰がいちばん早く課長になるかとか、誰が取締役になれそうだといったことが最大の関心事になったり、挙げ句、個室に入れるとか、秘書がつくとか、黒塗りのハイヤーに乗れるといったことにこだわるような人が出てくる。

 私も、ソニーを辞めたときに、自分自身の心に知らぬ間にさまざまな「澱」が溜まっていることに気づかされた。そしてそれを意識的に取り払ったからこそ、グーグルで得がたい体験をすることができ、起業というチャレンジをすることもできた。

 自分という人間について、内観する時間をつくることは大切である。そしてもしも、本質的でないことばかりに心が支配され、心の中の澱に気がついたら、一度それをきれいに掃除してみることをおすすめしたい。
 澱を捨て去れば、本質だけが残る。私はソニーで「人のやらないことをやる」「ほかに一歩先んじる」「世界を相手にする」といったソニースピリットを徹底的に叩き込まれた。また日本を代表する企業として、世界を相手にビジネスをすることのすばらしさを教えてもらった。
 これらはソニーで得たことの本質であり、そのスピリットはいまも私の心の中に息づい ている。「日本発の優れたアイデアや商品を世界に発信したい。日本のもので世界と勝負していきたい」という起業のきっかけも、ソニースピリットを私なりのかたちで受け継いだものといえるのかもしれない。

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成功体験はいらない

辻野晃一郎

グーグル、アップル、アマゾン。圧倒的な意思決定のスピードはどこから生まれてくるのか? ソニーを経てグーグル日本法人社長を務めた著者は、「しがらみを捨てると世界の変化が見える」と指摘します。 新しいビジネスルールの見取り図と、そこで生き...もっと読む

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yamada_kazuo 記事や助言の押し売りがいらない一番  https://t.co/jwkKR5utR4 4年以上前 replyretweetfavorite