どっちがどっちかわからなくなる
—— 作品に対する反応で、おもしろかったことはありますか。
渡邊有紀(以下、渡邊) 私とみかが間違えられることですね。私が写っている写真がみかに見えたり、みかが私に見えたり。周りの人からも言われるし、じつは自分たちでも勘違いすることがたまにある。「あれ、これどっちだ?」って。ちょっと不思議ですね。
喜多村みか(以下、喜多村) 実際は似ていないのにね。でも、作品を受け取る人がついそう勘違いをしてしまうのなら、それはそれでおもしろいことだからそのままにしておきたい。
—— どっちがどっちであるかはこの作品にとって重要ではない?
喜多村 そうですね。わたしたちが、売れっ子アイドルみたいに名前と顔が先に知られているんだったら、この写真にいるのはどっちなのかという情報が大事になりますけど。そうじゃなくて、ふたりの人間が撮り合っている作品としてまずは見るから、「あれ、これどっちだ?」となるのかな。ふたりの写真家が登場するはずだ、くらいにしか人はおもっていなくて、画面に渡邊有紀や喜多村みかを探しているわけじゃない。
渡邊 じゃあ、自分たちまで「あれ?」となるのは何でなんだろ。
喜多村 ふたりの写真を併せて編集したりしているからじゃない? どちらも自分の作品だという意識があって、イコール自分が撮った写真。ということは写っているのは相手のはず、でも自分も写っている……。そんなことが頭のなかでグルグルして混乱しちゃうとか。
渡邊 自分が撮った写真はもちろん自分のものだと思うし、自分が写っている写真も自分のもののような気がする。そのふたつが混ざっちゃう感じもある。
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