vol.3 「あれ、これどっちだ?」

写真家の喜多村みかさんと渡邊有紀さんが互いを撮り合った作品「TWO SIGHTS PAST」。作品を発表しての反応でおもしろかったものが、おふたりが取り違えられることが多かったことだと語る渡邊さん。当の本人たちでさえ、自分が撮ったものと写っているものが混ざって、どっちなのか分からなくなることがあるのだとか。鑑賞者のさまざまな反応に、どのような思いを抱いているのか、おふたりに聞いてみました。(構成・山内宏泰

どっちがどっちかわからなくなる

— 作品に対する反応で、おもしろかったことはありますか。

渡邊有紀(以下、渡邊) 私とみかが間違えられることですね。私が写っている写真がみかに見えたり、みかが私に見えたり。周りの人からも言われるし、じつは自分たちでも勘違いすることがたまにある。「あれ、これどっちだ?」って。ちょっと不思議ですね。

喜多村みか(以下、喜多村) 実際は似ていないのにね。でも、作品を受け取る人がついそう勘違いをしてしまうのなら、それはそれでおもしろいことだからそのままにしておきたい。

— どっちがどっちであるかはこの作品にとって重要ではない?

喜多村 そうですね。わたしたちが、売れっ子アイドルみたいに名前と顔が先に知られているんだったら、この写真にいるのはどっちなのかという情報が大事になりますけど。そうじゃなくて、ふたりの人間が撮り合っている作品としてまずは見るから、「あれ、これどっちだ?」となるのかな。ふたりの写真家が登場するはずだ、くらいにしか人はおもっていなくて、画面に渡邊有紀や喜多村みかを探しているわけじゃない。

渡邊 じゃあ、自分たちまで「あれ?」となるのは何でなんだろ。

喜多村 ふたりの写真を併せて編集したりしているからじゃない? どちらも自分の作品だという意識があって、イコール自分が撮った写真。ということは写っているのは相手のはず、でも自分も写っている……。そんなことが頭のなかでグルグルして混乱しちゃうとか。

渡邊 自分が撮った写真はもちろん自分のものだと思うし、自分が写っている写真も自分のもののような気がする。そのふたつが混ざっちゃう感じもある。

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レンズをのぞきあって見えたもの—喜多村みか×渡邊有紀対談

喜多村みか /渡邊有紀

写真家の喜多村みかさんと渡邊有紀さんがお互いを被写体として、2000年頃から撮り続けている「TWO SIGHTS PAST」。昨年の7月からスタートした連載は150回を突破しました。大学で知り合ったふたりがどのようにして写真を撮るよう...もっと読む

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コメント

yusay 僕もはじめ「あれ、これどっちだ?」 と思いました(笑) ロラン・バルト著 『明るい部屋』 の言葉を借りると、「撮影者」と「幻像」がまざって「観客」に伝わる、のかな?混ざるくらい仲がよくて、感性も似てるのかも? https://t.co/ll3MnCYhdy 約4年前 replyretweetfavorite