目指すのはイヤ。でも可能性があるなら追求する
—— KADOKAWA・DWANGOの経営統合についての報道を見ると、日本のコンテンツをまとめて世界に打って出る、という内容が多いように思います。それについて、実際はどう思われてるんですか?
川上量生(以下、川上) んー、ありえますよね。それなりにメリットがあるし。それは、みんなが望んでいる未来でもあると思うんですよね。外資系のプラットフォームではなく、国産で、かつ、寄りかかれるくらい大きくて安心なプラットフォームができたらいいな、と思っている人は多いでしょう。
—— たしかに、GoogleやAmazonに頼っていると、いきなりなにかがひっくり返ったり、不利な条件をつきつけられたりという不安はありますよね。
川上 そうなんですよ。ある程度、日本のコンテンツ業界にとってもシンパシーがもてるプラットフォームが登場する。そこには意味があると思います。だから、成立する可能性はありますよね。
—— 川上さんはそれをやろうとしている。
川上 いや、やろうとしているっていうのは違いますね。可能性がある。
——目指す、ではなく(笑)。
川上 目指すのはイヤなんですよ(笑)。もちろん可能性があるなら、追求すべきテーマですよ。でも、できるかどうかはわからないです。
—— 現状、やろうと思っていることはあるんですか?
川上 ありますよ。ひとつはゲーム情報のポータルですね。攻略情報やコミュニティを網羅したゲーム情報ポータルサイトって、実はこれというものがなくて、手付かずで残されてるエリアなんです。
—— そういえば、ないですね。非公式なサイトばかりですもんね。
川上 しかも、KADOKAWAは『ファミ通』『電撃』というゲーム系のコンテンツ(ブランド)を持っています。そこと、さらにゲーム実況で日本の中心になっているニコ動が組む。
—— おお、そうか!
川上 これはわかりやすいですよね。とりあえずこの手は打っておこう、という手です。あとはもちろん、KADOKAWAの電子書籍ストアBOOK☆WALKERと、ドワンゴのニコニコ書籍。これをどういうふうに融合していくかということも考えています。電子書籍のプラットフォームの新しいモデルをどうつくるか、ですね。いまあるのは、アメリカの電子書籍のコピーでしかないから。
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