小松菜奈がいま輝いている3つの理由
長編映画にヒロイン役で初出演!
長編映画デビュー作となる映画『渇き。』にて、あの名優・役所広司さんと共演。ヒロイン役に大抜擢!
鬼才・中島哲也監督からラブコール
中島哲也の最新作『渇き。』はもちろん、監督が担当した「ドコモdビデオ」のCMにも出演中。今後も監督とのコラボが楽しみ!
人気モデルとして大活躍
幼い頃から、「ニコ☆プチ」などの人気モデルとして活動。現在も「SEDA」「Soup.」「装苑」などさまざまなファッション誌にて活躍中!
出演者の半分近くとキスシーン!
—— 今回、小松さんは長編映画初出演で、ヒロインに大抜擢されていますが、最初その話を聞いたときはいかがでしたか?
小松 ものすごく驚きました! とても難しい性格の女の子だったので、まずは「私にできるんだろうか」という不安がありましたね。
—— 突然失踪した女子高生の娘を、元刑事の父親が探す……というストーリーですよね。映画の宣伝ポスターのコピー「愛する娘は、バケモノでした」が評判になっていますが、小松さん演じる失踪した女子高生・加奈子は「バケモノ」と形容されていますね。
小松 加奈子は、常にみんなの予想の斜め上をいく行動をして、裏をかくような女の子なんですよね。だから、共演者の役所広司さんや中谷美紀さん、妻夫木聡さんをはじめ、みなさんベテランで有名な方ばかりを相手に、「この人たちを翻弄するような女の子を演じることができるのかな?」と不安でした。
—— 実際に撮影に入ってみてどうでしたか?
小松 意外と本番に入ると大丈夫でしたね。いろんな方とキスもしましたし(笑)。
—— たしか、出演者の半分近い方とキスシーンがあったとか(笑)。
小松 そうなんです。多分、6人ぐらいの方々とキスしましたね! 複数の方とキスシーンがあったせいか、撮影中も変な緊張はしませんでした。「あ、こういうもんなのかな」って。あまり意識しないで演じられましたね。
©2014「渇き。」製作委員会
—— 完成した作品をご覧になった感想はいかがでしたか?
小松 映画を観る前は、「自分の芝居はどんな感じになっているんだろうな」とすごく楽しみでした。でも、観た後は呆然としちゃいましたね。「本当にすごかったな……」っていう印象でした。映画を観た人とよく話すんですけど、あのすごさは観ていない人には絶対わからないだろうな……と。これじゃ全然感想になってないと思うんですけど(笑)。
—— バイオレンスやグロテスクな表現があったりと、かなりハードな映画でしたが、観終わった後はすぐに日常に戻れましたか?
小松 結構ショッキングな映像は多かったんですが、引きずったりすることはなかったです。思わず目をそらしちゃいそうになる場面もあったんですが、映像の場面転換がすごく早いので、怖いシーンもすぐ別のシーンになる。だから、ずっと目が離せませんでしたね。
—— 台本を読んだときと、実際に映像で観たときの印象の違いはありましたか?
小松 事前に台本を読んでいるので、展開はわかっていたはずなんですけど、やっぱり文字で読むのと映像で観るのは全然違いましたね。
男の子がいじめられるシーンとか本当は悲惨なシーンなのに、明るくてポップな音楽が流れていたり、アニメーションが入ったりするので、すごく不思議な感じで。原作を読んでいる人でも、映画をみたら、多分想像していたものと違ってびっくりするかもしれません。
登場人物みんなを狂わせる女子高生
—— ご自分で観ていて、一番気になったシーンはどこですか?
小松 役所広司さんが演じる加奈子のお父さんの暴れっぷりが本当に印象的でしたね。娘を一生懸命探しているのに、どこか空回りしてしまう。橋本愛ちゃんが演じる加奈子の高校の同級生に殴られたり、蹴られたりしている姿を見ていると、「あぁ、かわいそうだな」ってせつなくなっちゃいましたね。
©2014「渇き。」製作委員会
—— 「クソガキ」「ブッ殺す」が口癖でしたね……。
©2014「渇き。」製作委員会
小松 本当にひどいお父さんだけど、「やり直したい」って言ってくれていて。父親としての自覚を持つのが遅いんだけど、最後のシーンで「あぁ、本当に一生懸命探してくれていたんだな」ってわかるんです。それがすごく切ない気持ちになりました。
—— 加奈子は周囲を惹きつける圧倒的な存在感が印象的でしたが、小松さんが演じるときにイメージしていた加奈子像はどういうものでしたか?
小松 逆に「加奈子はこういう子だろう」と決めつけるのは違うんじゃないかな、と思ったので、あまり自分のなかでイメージは作らないようにしていました。多分、それだと加奈子の良さが出てこないので。
—— といいますと?
小松 彼女は会う人によって自分を変えていく女の子なんです。だからこそ、映画を観た後に「加奈子ってこういう子だったよね」ってみんなから同じ感想が出てくるようだと、それは加奈子じゃない気がして。
監督も「僕は加奈子がどんな子なのかわからない」とおっしゃっていたので、最初から彼女のイメージを作るというよりは、毎回監督と相談しながら演じ方を決めていく感じでした。
—— 小松さん自身とは重なるところはありましたか?
小松 自分とは全然違いましたね。そういう意味で、演じる楽しさもありました。痛いとか悲しいとかそういった表情を全然出さない子。さらに、「なんでこの子は感情を表現しないんだろう?」とか「なんでこんなに周囲の人を振り回すんだろう?」とか、いつまでたってもわからない。
—— その美しさとカリスマ性で人を狂わす役柄でしたね。楽しめましたか?
小松 楽しかったです(笑)。そんな不思議な魅力に引き込まれて、みんなどんどん狂っていくんですよね。そういうのは自分にはない要素なので、新鮮な体験でしたね。
次回「現場で泣いたとき、役所広司さんに言われたこと」、7/8更新予定
執筆:藤村はるな、撮影:小島マサヒロ
出演:役所広司、小松菜奈、妻夫木聡、清水尋也、二階堂ふみ、橋本愛/國村隼/黒沢あすか/青木崇高/オダギリジョー/中谷美紀
監督:中島哲也
原作:深町秋生「果てしなき渇き」(宝島社刊)
配給:ギャガ
6月27日(金)よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国ロードショー