前回のコラムでは、世界というのは、食に対する態度を軸に、大体二つに分類できるのではないかと考える様になったと書きました。「食に命をかける系の人々」と「生命が維持できればいい系の人々」で世界は成り立っているのです。今回は、「生命が維持できればいい系人々」の驚くべき世界をご紹介します。
生命が維持できればいいと思っている系の人々
このカテゴリに属す人々は、食べることにあまりこだわっておらず「生命が維持できればいい」というノリです。
このカテゴリに入る人々は、イギリス、オランダ、アメリカ、カナダ、オーストラリア、北欧辺りの人々です。
この人達の食に対する哲学というのは、お昼を観察しているとよくわかります。机の上でモソモソと「何か」を食べています。それは、巨大なタッパウェアに無造作に詰め込んだ前夜の伸びきったスパゲティの残り物であったり、製造後10時間は経過していると思われるスーパーのサラダであったり、クラッカーにクリームチーズだけであったり、ハムしか入っていない冷たいサンドイッチであったり、ジャムだけが挟まったサンドイッチであったり、あげた魚と芋を紙にくるんだ物であったりします。人によっては、昼になぜかシリアルを食べています。
それらが、人によっては、なぜか運動靴と一緒に鞄に放り込んであります。コンピューターの画面をみながら、机の上で書類に埋もれながら、モソモソと食べるわけです。
会話を盗み聞きしていても「何がうまい」「あそこの店はどうだ」という話がなかなかでてきません。携帯では仕事の話をしていて、マンマに今日の夕食のメニューを聞いているわけでもなく。一緒に飲みに行けば、何を食べるわけでもなく、延々とアルコールだけ飲んでいます。つまむのは、ポテトチップスやナッツであり、この様な飲み会にイタリア人やフランス人やトルコ人が参加すると「食べる物はどこだ」と大騒ぎになるのです。日本人や韓国人は大人しいので、飲み会が終わった後に、ヒソヒソと「お腹がすいた」とささやき合います。
二つの世界の仁義なき抗争
さて、この「生命が維持できればいい系の人々」が、「食に命をかける系の人々」と出会うと、隕石がぶつかったような衝撃が起こります。
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