神去なあなあ日常』【前編】すべては「匂い」から始まる

林業というニッチなテーマを扱いながら、口コミで評判の広がっている映画『WOOD JOB!~神去なあなあ日常~』。主演の染谷将太さんをはじめとしたキャストたちの体当たりの演技と、CGをほとんど使っていないという三重県の雄大で美しい森林の風景が、原作『神去なあなあ日常』の魅力と絶妙にかみあわさって、笑えて泣けるエンターテイメントに仕上がっています。cakesでは原作の著者である三浦しをんさんにインタビュー。映画と小説双方にまたがって、「神去」シリーズの楽しみ方をうかがいました。(聞き手:柳瀬博一 構成:崎谷実穂

村の風景や匂いがずっと自分のなかにあった

柳瀬博一(以下、柳瀬) 今回は三浦さんの小説『神去なあなあ日常』『WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~』というタイトルで映画化されたということで、改めて『神去(かむさり)』シリーズについて話をおうかがいします。

神去なあなあ日常 (徳間文庫)
神去なあなあ日常 (徳間文庫)

三浦しをん(以下、三浦) よろしくお願いします。

柳瀬 僕も先日映画を観てきましたが、映画も小説も、それぞれ味わいがあって非常におもしろかったです。林業というニッチなテーマであんなにおもしろく、成長ドラマが描けるとは。

三浦 実は、父方の祖父が今回の映画のロケ地のひとつである美杉村(現在は津市美杉町)出身なんですよ。

柳瀬 あ、実際にお祖父様が林業をされていたんですか。

三浦 そうです。でも、社会科の教科書には、林業は「斜陽産業」って書いてあるし、本当はどうなのかなって気になってたんです。

柳瀬 斜陽産業(笑)。

三浦 村には子どもの頃から遊びに行っていました。林業自体は、さらに山の中でやるので、実際の作業を見たことはなかったんですが。製材所などは目にすることがあったんですけどね。それで、林業って結局なにをしているんだろうと、大人になってから調べて、おもしろいと思ったので小説にしました。

柳瀬 じゃあ、三浦さんのなかにはもともと神去村に通じるDNAが組み込まれてるんですね。

三浦 そうですね。村の風景や匂いみたいなものは、自分の中にずっとありました。

柳瀬 映画の中で、山に向かう男たちがトラックの荷台に乗りながら「木遣り唄」を歌いますが、あれも実際聴いたことがあったんですか?

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記憶」を嗅ぎあう関係の描き方—三浦しをんインタビュー

三浦しをん

バツイチの便利屋と訳ありの居候、天才ランナーと彼の才能に賭ける相棒、辞書作りに没頭する朴念仁とお調子者の同僚……。三浦しをんさんの小説は、生き生きとしたキャラクター達が織りなす人間関係の魅力で、読者の心をつかんできました。三浦さんの友...もっと読む

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コメント

wondergoodman 『 神去なあなあ日常』【前編】すべては「匂い」から始まる https://t.co/QOWIrGGeBp 3年以上前 replyretweetfavorite

caramelholic 三浦しをんって女性だったのか…!読んだ事はないけれど。まほろの原作もこの人だよね。【】 3年以上前 replyretweetfavorite

taoneoco ウッジョブ観なきゃなってなってるけど映画の気分になる前に終わりそう 3年以上前 replyretweetfavorite

consaba #ss954 #life954 3年以上前 replyretweetfavorite