いつも混雑している渋谷の街ですが、スクランブル交差点あたりから、駅前の「109」の脇を通り抜けて、「ドン・キホーテ」の角を曲がるころにはその喧騒もひと段落してきます。その先に鎮座する東急百貨店の地階に降りると現れるのが、美術館「Bunkamuraザ・ミュージアム」です。
ここで始まった展覧会は「デュフィ展」。主に20世紀前半に活動したフランスのラウル・デュフィの回顧展です。単純で伸びやかな線と、透明感ある鮮やかな色彩が画面いっぱいにあふれるのが、よく知られているデュフィの作風。突き抜けた明るさで広く人気を得ている画家ですね。
今展には、パリの美術学校に入学したころから晩年までの作品が揃えてあります。ひと目でそれと分かる様式を持つデュフィが、いかにしてその画風を築き展開していったかがよく理解できますよ。
展示は時代順に作品が並んでおりまして、最初のほうは若き日の模索の時期。なるほど最初から底抜けに明るい画面を作り得ていたわけではなかったようです。印象派やそれに続く当時の新潮流の画法を、いろいろまねてみて、試行錯誤をしているのが、いくつかの作品から見てとれます。
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左:《レスタックの木々》1908年 パリ国立近代美術館、ポンピドゥー・センター蔵(カンティーニ美術館、マルセイユ寄託)、右:《レスタックのアーケード》1908年 パリ国立近代美術館、ポンピドゥー・センター蔵(カンティーニ美術館、マルセイユ寄託)
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