メランコリック

第12回 RIN on the stage メランコリック

文化祭のステージに立ったリンたち生徒会のメンバーは、大勢の声援に胸を熱くした。そして、いよいよ演奏が始まる――。
Youtubeとニコニコ動画での動画再生数が360万回を超えるボーカロイド楽曲「メランコリック」が遂に小説化! 書籍発売を記念して、一部を公開します。

「いくよーっ!!」
 会長がドラムスティックを打ち鳴らす。  
 軽快な前奏から、アップテンポの曲が始まる。  
 ルカ先輩が歌い出すと、呼応するように歓声があがる。  
 わたしは、ただ無心でキーボードを叩き続けた。周囲を見る余裕なんてない。間違えないようにと、必死だ。  
 ただ、音だけは聴こえる。体に響いてくる。  
 わたしには楽器のことはわからないけど、練習中にレンが教えてくれた。  
 ドラムは全体のリズムを作ってバンドの作るすべての音を導く、縁の下の力持ちなんだ。
 ベースは目立たないように見えるけど、ここがしっかりと仕事をすると音に驚くほど厚みが出る、重要なパートだ。
 ヴォーカルだって、音程をとるのがうまいだけじゃダメで、聴く人を元気にするような心を震わせる魅力が必要なんだ。  
 そんな説明が、担当する生徒会メンバーたちをそのまま表しているようだった。
 その時、会長がレンに言っていた。
「うしろはアタシらに任せて、ギターは目立て。派手にやるんだよ。自由に遊んでいいからね」  
 今、その言葉をまっすぐに受けて、レンはパフォーマンスを交えながら飛び回っている。ヴォーカルに寄り添ったり、それぞれのパートに近づいてきて合わせるように弦を弾いたりするから、視界に飛び込んでくるのだ。  
 スポットライトに汗の玉がきらめいている。向けてくれた輝くような笑顔に、体の硬さがとれるようだった。

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メランコリック

ココロ直 /ちほ /Junky

「わたしは、きっと、こんなわたしが大嫌い。」 幼なじみのリンとレン。ある出来事がきっかけで中学時代にレンを避けていたリンだが、進学した奏丘高校でルカ先輩たちの誘いを受けてレンと共に生徒会メンバーになることに! 片想い中の相手に素直...もっと読む

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