メランコリック

第9回 RIN on the stage ユウヒとウタヒメ

「文化祭で、歌ってくれないか?」。レンの真剣な表情と、意外な言葉に驚くリン。
どうしてそんなこと言うの――? 戸惑うリンは、レンを避けることしかできなかった……。

Youtubeとニコニコ動画での動画再生数が360万回を超えるボーカロイド楽曲「メランコリック」が遂に小説化! 書籍発売を記念して、一部を公開します。
♪『メランコリック』動画はこちらから♪


『メランコリック』 作詞作曲:Junky


    4 ユウヒとウタヒメ

【7月16日(木) 昼休み】

「以上が、今年の文化祭の概要になります。続いて時間配分ですが、冊子の七ページを—」  
 会長のはきはきとした説明が、カメラの前で続く。  
 ここは放送室に隣接する、撮影スタジオ。  
 生徒数の多い奏丘高校では、体育館ではなく、各教室に設置されたテレビ画面を通して全校集会が行われる。
 わたしとルカ先輩は、ブース横の部屋で防音ガラス越しに撮影の様子を見ていた。  
 事前に何度も調整を重ねた文化祭の計画発表は、会長のなめらかなしゃべりもあってとどこおりなく進み、無事に終わろうとしていた。  
 各教室の様子を見に外を歩いていたレンとカイト先輩が帰ってきた。
「それでは、みんなで力を合わせて文化祭を成功させましょう。えー、ちなみに、文化祭後に新しい生徒会役員を選出することになります。立候補や推薦など随時受け付け中となっておりますので、そっちもよろしく!」  
 ちゃっかりと宣伝を入れて、放送を終える。その後、担当の先生からはちくりと注意されたが、それだけで済んだ。
 今となっては生徒会に対して協力的な先生がほとんどで、その信用を勝ち得たのがほかならぬ会長のがんばりだと、みんなが知っているのだ。
「おつかれさまです!」  
 ブースを出てきた会長に、わたしはミネラルウォーターのペットボトルを渡した。
「やー、終わった終わった。来年はカイト、よろしくね」  
 その状況を想像したのか緊張で青ざめるカイト先輩に、会長はケラケラ笑っていた。  
 わたしは、レンと一瞬だけ視線を交わし、すぐにそらした。  
 レンも、同じだったと思う。  
 学校では期末テストも終わり、あとは夏休みを待つばかりになった。夏休みも出てくることにはなるけど、生徒会バンドの練習も順調で、大きなトラブルはない。わたしとレンの関係以外は……。

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メランコリック

ココロ直 /ちほ /Junky

「わたしは、きっと、こんなわたしが大嫌い。」 幼なじみのリンとレン。ある出来事がきっかけで中学時代にレンを避けていたリンだが、進学した奏丘高校でルカ先輩たちの誘いを受けてレンと共に生徒会メンバーになることに! 片想い中の相手に素直...もっと読む

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