1978年10月27日、東京・渋谷のライブハウス「屋根裏」で行われたRCサクセションのライブは、「よォーこそ」で始まった。
忌野清志郎は顔に薄っすらとメイクを施し、短い髪の毛をツンツンに立てていた。
冗談半分で化粧してステージに上がったら、スタッフなんかから大ひんしゅく買ってさ、「清志、ちょっとないんじゃない」って。
でもおれはおかまいなしでさ、ファン・サービスみたいなもんだよ。
どんどんエスカレートしてさ、髪まで逆立てて‥‥‥スプレーぶっかけてね。
その頃のRCサクセションは、ヒット曲もなければ仕事もないという日々が2年以上も続いていた。
もともとアコースティック・トリオだったバンドがエレクトリック志向を打ち出したのは、結成から10年が過ぎたこの年からである。
忌野清志郎は27歳になっていた。
その日、第二部のオープニング曲は、大胆なロックにアレンジされた「上を向いて歩こう」だった。
坂本九の世界的な大ヒットから10数年が過ぎた「上を向いて歩こう」を、忌野清志郎は「日本の有名なロックンロール!」※と紹介して歌ったのだ。
※忌野清志郎さんがなぜこのように紹介したのか?仲井戸“CHABO”麗市さんにインタビューしてみました。そのときの記事はコチラです。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。