キプロス戦から見えた、本番のギリシャ戦のポイント
ブラジルワールドカップまで、のこり2週間を切った……!
直前に行われるザックジャパンの強化試合、キプロス戦、コスタリカ戦、ザンビア戦は、本番の対戦相手にとってもスカウティングの対象になる。つまり情報戦の色合いが濃くなるのだけど、とはいえ、そればかりを気にして、トライすべきことまで隠してしまえば、肝心の自分たちのクオリティーが上がらない。
この3試合は、ザックジャパンが『どこまで手の内をさらして』、『何にトライして』、そして『何を隠している』のか。そういう視点で僕は楽しんでいる。
まずは仮想ギリシャと呼ばれた、先日のキプロス戦。僕がもっとも印象に残ったのは『カウンター返し』だった。そのキープレーヤーは山口螢だ。
キプロスはギリシャ同様、守備をベースに組み立てられたチーム。組織的なディフェンス意識が高く、簡単に崩すことはできない。ただし、どんなに強固な守備を誇るチームでも、攻めるときまで守備ブロックを作るわけではない。ひとたびボールを持てば、守備ブロックが一度散開される。そこを突いて素早くボールを奪い返せばどうなるか…。
カウンターよりも怖い、カウンター返し。ペップ・グアルディオラも、相手のディフェンスを崩すための最もシンプルな方法は、相手にボールを渡すことだと言っている。そうすれば相手の守備ブロックは自然と崩れると。
キプロス戦ではボールを奪われると、最初の縦パスに対して特に山口が鋭くプレスをかけ、カウンターをシャットアウトした。それに終わらず、攻めに移る際に守備ポジションが乱れたキプロスの1~2秒の隙を見逃さず、すぐにカウンター返しに移っていく。
前半43分の内田篤人の決勝ゴールは、まさにそういうシーンだった。長友佑都から香川真司へのパスをインターセプトされたところで、すかさず山口が奪い返す。そこからパスをつなぎ、再び山口から柿谷曜一朗へ縦パス。柿谷のポストプレーをはさみ、本田圭佑が左サイドからクロスを入れると、クリアボールを拾ったのは……またも山口!
セカンドボールを拾うポジションが的確で、出足が鋭い。ときどき、バルセロナのブスケッツが山口に乗り移ったような気持ちになる。
そしてすぐに山口が岡崎慎司へパスを出すと、岡崎はさらにワンタッチで裏のスペースへ抜け出した香川へ。こぼれ球を内田が押し込んで先制ゴールを挙げた。
「ポゼッションの本来の姿」=カウンター返し
ギリシャがカウンターの得意なチームとするなら、ザックジャパンはキプロス戦で成功したような『カウンター返し』を仕掛けることができるか。本番はそこがキーポイントになると思う。
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