【ハーレクイン豆知識:パーティー】
海外の方はパーティーがお好きですよね。セレブ揃いのハーレクインの登場人物たちも頻繁にパーティーをひらいています。海外のパーティーはフォーマルになるほど、夫婦かカップルで招待するのが原則なのだそうで、ハーレクインにはパーティーに参加するためにヒーローとヒロインが偽りの恋人契約を結ぶお話もたくさんあります。
『異国の王女とは知らずに』の2人の出会いの場もやはりパーティー。夢の一夜をともにする2人の、甘いひとときをご紹介します。
【作品紹介】
「次は僕と踊る約束だろう?」——アメリカを訪れたシャンテイン国の王女ティナは、 身分を隠して仮面舞踏会に出席することになった。 しつこい男性に誘われ困っていると、 セクシーな声の男性に助けられる。 彼の名はザック。たくましい胸に抱かれ、ティナは夢中で踊った。 魔法の一夜が明けた朝、彼が目を覚ます前にそっと家を出たティナ。 だが帰国後、彼女は呆然とする。なんと妊娠していたのだ。はたしてティナは彼と再び巡りあうことができるのか?
「そういえば、あなたの名前も知らないわ。私はティナよ」
「ザックだ。ザック・ローガン」
「意外だけど、こんなふうに楽しむのは……」
ティナの顔に驚きの色が浮かんだ。
「初めてだわ」
ザックは笑った。
「君は僕と同じらしい。もっと外に出かけるべきだよ」
「あら、出かけているわ。こんなふうではないだけ。この時間を終わらせるのはいやだけど、暴露タイムの前に帰らなくては」
「どういう意味だい?」
「パーティの最後に仮面をとるでしょう。その前に帰らなくてはいけないの」
「なぜ?正体を秘密にしておきたいのかい?」
ティナは警戒するような視線を投げて肩をすくめた。
「そんなところかしら」
曲が終わると、彼女は体を引いた。
「行かなくちゃ。ありがとう、ザック・ローガン」
彼女を一人で行かせることはできなかった。キーリーとブレントに、無事送りとどけると約束してある。
「送っていこう。君のようなきれいな女性を一人で帰らせるわけにはいかない。それに、もし興味があるなら、この近くに最高のアイスクリームフロートを出す店があるよ」
ティナは心を引かれたようだったが、いかにも残念そうに答えた。
「だめよ」
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