能町みね子
「
牛込の加寿子荘」第三十話
退去した隣人タエコと喫茶店で偶然の再会。友人との会話に聞き耳を立てていると聞こえてきたのは、タエコの昔の仕事、今の仕事、そして加寿子荘のことだった。
築40年を超える「加寿子荘」での生活風景。能町みね子の自叙伝風小説!
仕事場ではイラストに集中できるのに、文章には集中できない。だからここのところ、私は加寿子荘近くのチェーンの喫茶店にパソコンを持ち込んでよく仕事をしております。なんたる非効率。
その日曜の昼も私は喫茶店で画面をにらんでカタカタやってたんですが、ふと入口を見たときに、ちっちゃくて小太りなおばちゃんが入ってきて、「ほらほらタエちゃん!」と。
すると、後ろからエメラルドグリーンのポロシャツに白いスカートの人がついてきて、それは「タエちゃん」だったんだ。タエコだったんだ。タエコ、ふたたび!
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この連載について
能町みね子
築40年を超える「加寿子荘」での生活風景。能町みね子の自叙伝風小説!
著者プロフィール
漫画家。北海道出身、茨城県育ち。 著書は『くすぶれ! モテない系』(ブックマン社)、『縁遠さん』(メディアファクトリー)、 『ときめかない日記』(幻冬舎)、『お家賃ですけど』(東京書籍)、 『ひとりごはんの背中』(講談社)、『お話はよく伺っております』(エンターブレイン) など多数。雑誌やネット媒体での連載も多くかかえる。 フジテレビ系『久保みねヒャダこじらせナイト』に出演するなど今大注目の作家。
Twitter :@nmcmnc