知らない世界をのぞいてみるのって、面白いわよね。
のぞけるってことは、つながってるんだけどね。
まきむらよ。
「女と結婚した女だけど質問ある?」と題し、cakes読者のあなたからのご質問を通して、いろいろな生と性について考えるこちらの連載。今回で12回目になります。
今週のテーマはこちら!
「レズビアンのイベントに初参加する際に気をつけたこと、参考になったこと、また実際行ってみて発見したこと」
ここでいう「レズビアンイベント」とは、「女性を恋愛対象にする女性」もしくはそれに近いような性のあり方の人同士で集まり、友達や恋人との出会いを求めたり盛り上がったりするためのイベントのことを指しています。
自分はキラキラのパーティよりフカフカのお布団が好きなので、2回しか参加したことないけどね。でも、大きく言えば「新しい世界に飛び出していくときの気持ち」ってことで、5月病まっさかりシーズンのいまこそ「レズビアンイベント初参加の経験」についてお伝えしたいと思います!
レズビアンイベントって、どんなものだろう。
「ゴールドフィンガー」
「レディ・キラー」
うわおなんだか魅惑的!
同性への恋愛感情を自分で認めはじめていたころ、わたしはそういうレズビアンイベントの名前をGoogle検索結果で見ただけでもうテンション爆上げハッピーでした。
きっと小麦色に焼けたおねいさんたちが、熱気ムンムン汗だくの中で、「フォーゥ!」とか「イェーア!」とか言いながらお互いにビールかけしまくってるんだ! すごい!! って。
今思うと「優勝した野球チームじゃんそれ」ってなりますけど。当時は知らなかったの。
居場所をみつけられないまま、ネットでのリサーチばかり続けていました。
男性との交際経験しかない、だけど初恋の相手は女の子だった。
そういう自分はまるで、「男と女」の世界に背を向けたまま、「レズビアン」の扉を遠くに見つめて近寄れずにいるような、中途半端で居場所がないという気持ちでいました。
そこで双眼鏡の役割をはたしたのが、インターネットでした。
パソコンの画面を通して見るレズビアンイベントは、
・なんか踊り子さんが長い棒にからみつく、ポールダンスなるものがあるらしい
・華麗な男装の麗人がスーツ姿で胸に薔薇をさしてエスコートしてくれるらしい
・みんな自己紹介で「ボイタチっす」とか謎の符号を言わないといけないらしい
みたいな、独特の戒律に守られた秘密の花園のように見えました。
「あの扉の向こうに入れてもらうには、秘密の言葉を覚えなくちゃいけないんだ」
そう思ったわたしは、イベントの予約の前に、一生懸命「ボイタチ」「フェムリバ」などといった謎の自己紹介符号の解読に取りかかります。
まるで大学デビューを機に「パンキョー」とか「純ジャパ」とかやたら大学専門用語を使いたがる学生のように。ライターデビューしたばかりの人間が、こっそり「校正 校閲 違い」
とかググってさっそく使いだすような一生懸命さで。
どうも、自分のポジションを決めなきゃいけないらしいことがわかりました。
自室からのリサーチの結果、符号はこういう意味のようでした。
≪グループA≫
・ボイ=男っぽい見た目
・フェム=女っぽい見た目
・中性=中性的な見た目
≪グループB≫
・タチ=セックスの時に攻める役
・ネコ=セックスの時に受け身の役
・リバ=タチネコどっちもできる/セックスに受け攻めなんかない派
そして、グループAとグループBの言葉を組み合わせ、「ボイタチ」「フェムリバ」などというように名乗らなければならないらしい、と。
もちろん、本当はそんなの別にイベントに必須じゃないし、女性と結婚した今ですら別にタチだのなんだの決めてませんから、完全にネットを通した思い込みだったんですけど。
わたしは叫びました。脳内で叫びました。
「そんなんセックスしてもいいくらい好きな相手にしか知られたないし、そもそも女の子とセックスしたことないからわからんがな!!!!」
ということでイベントについて勘違いしたわたしは、レズビアンオフ会に申し込みました。マイミクとかいうだけで懐かしい、懐かしさのあまり同窓会とか開催されちゃった感じの、あのSNSで。
ピーターパンに助けられました。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。