心のベストテン

いつでも14歳にしてくれるナンバーは?
[#1 SPRING 2014]

「音楽についてパァッと明るく語りたい! なぜなら、いい音楽であふれているから!」。ハートのランキングを急上昇しているナンバーについて、熱く語らう音楽放談が始まりました。
DJは、音楽を愛し音楽に救われてきた芸人、ダイノジ・大谷ノブ彦さんと『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』を上梓し、ノリにのっている音楽ジャーナリスト・柴那典(しば・とものり)さん。
初回は、ファレル・ウィリアムス、ダフト・パンク、銀杏BOYZ、そして爆弾ジョニーがランクイン!

前口上

こうしている今も、たくさんの『名曲』が生まれている。

 家でぼんやりしているとテレビ、ラジオ、PCから……
 外に出て歩けば街頭から、お店から……
 日常生活は常に音楽に溢れていて、音楽に囲まれている。

 次から次へと『名曲』が生まれてくる世の中だから、もっともっと音楽に触れて、たくさんの音楽を知ってほしい。

 今回、柴さんと語り合うことで、自分自身改めて心にグッとくる『名曲』がまだまだあったなぁと再認識する場になりました。
 いいリズム、いいタイミングで、新たな『名曲』を振り返ってわいわい語れる場がありがたいです。

 熱く語らせていただきましたが、構えたりせず、ゆったりと「あーこんな素敵な曲もあるのかぁ」と気軽に知ってもらえる場になったらいいなと思ってます。


音楽について語りたい。パァッと明るく話したい。

「CDが売れない」とか「シーンの先行きはどうなるか」みたいな暗い話じゃなくて。なぜなら、日々いい曲がどんどん届いているから。

 年末恒例の「年間ベスト」だけじゃ物足りない。邦ロック、アイドル、洋楽、ボカロ、いろんなシーンに起こっているおもしろい動きを、がんがん紹介したい。熱く語らいたい。

 そういうところから話は始まりました。

 タイトルは「心のベストテン」。でも懐古的なトーンは一切なし。ダイノジ・大谷ノブ彦さんと、お互い「今はこの曲だ!」と思うものを持ち寄って、ぶっ続けの音楽談義。ぜひぜひ、聴きながら読んでみてください。


イラスト:長尾謙一郎


柴那典(以下、柴) さっそくやっちゃいますか。新連載です、よろしくお願いします!

大谷ノブ彦(以下、大谷) お願いします!

 ずっと僕はこういう企画やりたかったんです。とにかく心のベストテンを語り合いたい。

大谷 ははは! それは個人的なベストテンということ?

 実は二つやりたいことがあって。今の世の中って、みんなが見ている『ザ・ベストテン』的なものがないじゃないですか? オリコンチャートを見ても何が流行ってるのか、何がみんなに聴かれているのか、全然わからない。

大谷 指標にすらなってないですよね。

 で、今はもうYouTubeが普及して、そこで新曲を知る人がかなり多くなってきてますよね。だから、YouTubeの再生回数を参考にした新しい音楽チャートみたいなものが語れるんじゃないか?というのが一つ。
 もう一つは、それ以前に、せっかくYouTubeで公式のMVがどんどん公開されているんだから、それを使っておすすめの新曲をウェブ上でどんどん紹介したいという。

大谷 なるほどね。今ってCDも売れなくなっていて、ラジオも広告がなかなか厳しくなっている。音楽を消費する環境は間違いなく複雑になっていますよね。でもね、じゃあ音楽リスナーが減ってるか?っていったら、そんなことないんですよ。間違いなく増えてる。だからラジオの役割はリコメンドだと思う。この連載の話をいただいた時も、そういうことが一つの芯になるといいなと思ったんです。

 まさに。YouTubeを使えばウェブ上でそれができるわけですからね。そんな感じでやっていければいいかな、って思ってます。

大谷 じゃあ早速、一曲ずついきましょう。

大谷ノブ彦の1曲目→「ハッピー」ファレル・ウィリアムス

「Happy」Pharrell Williams
2013/11/21UP 227,157,407play(2014/5)

大谷 最初はなんと言ってもこれでしょう! ファレル・ウィリアムスの「ハッピー」。

 僕も心のベストテン第一位はこの曲ですね。今年を代表する一曲になりそうな気がする。

大谷 ほんとに、今のファレルは世界のポップアイコンになったと思うんですよ。それだけじゃなくて、僕の中でも「今はこの曲だ!」って言える。自分がやりたい芸能、お笑いのスタイルもこれなんですよ。で、それはダフト・パンクの存在がすごくデカくて。

 というと?

大谷 お笑い芸人も、90年代はふだん根暗で無口なのに、ステージに出てきた時にみせる爆発力がすごいとか、そういう狂気の裏返しみたいな美しさの型が一つあったんですよ。音楽でも、レディオヘッドとかニルヴァーナとか人間関係が苦手なやつが作品の中でパッションを放つみたいなものが格好いい時代がずっとあった。でも、気づいたらそればっかりになっていた。
 それで「あれ? なんかこの感じ違くないか?」と。そこにきて、去年、ダフト・パンクの『ランダム・アクセス・メモリーズ』聴いた時に、「やっぱ、こっちだよ!」って思ったんですよ。それって小沢健二が『LIFE』でやったのと同じ感覚なんです。

 なるほど。繋がってますよね。

大谷 一瞬だけでも人生を輝かせようとするような、能動的なエネルギーがサウンドとか世界観に入ってる。そういう陽性なものに対して「これだ!」って思った。だってタイトルからして「ハッピー」ですよ? 
 そこから僕は急にバックトゥー80sなモードになった。これ、お笑い芸人で言うと、「とんねるず」さんなんですよ。だから、今興味があるのはバブルの時代にディスコに行ってた人たちの音楽の聴き方とかで。あのパワーが今一番痛快だし、それを体現してるのかな、って思いますね。

 ダフト・パンクはデカいですよね。去年に出たダフト・パンクの「ゲット・ラッキー」がグラミー賞も受賞して2013年を代表する曲になって。そこで歌っていたファレル・ウィリアムスが、今度は「ハッピー」という曲を出した。そういう流れも象徴的で。

「Get Lucky」Daft Punk

大谷 ファレルはアカデミー賞でもパフォーマンスしたんですよね。で、みんなクラシカルな格好をしてるのに、一人だけジャージ着て出てきて。それで名だたる名優を手招きして参加させたりする。それがめちゃくちゃ格好いい。

 この曲、周りを引き込む力があるんですよね。それがいいなって思うんですよ。これ、観ました? デトロイトの小学生がこの曲を歌っている動画。

 この曲をみんなで歌ってる動画をネットに公開したら、それが口コミで広がって、テレビ番組でファレル本人の前でパフォーマンスするようになったという。

大谷 世界中でこの曲を踊ってるいろんな映像を見た瞬間にファレルが泣き出すやつもありますよね。あれ観たら、ファレルのことがもっと好きになるなあ。

 AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」も、結局そういうことなわけですよ。音楽ってシェアされるものなんですよね。

 音楽でつながるって、こういうことですよね。

大谷 これですよ。こういうことをDJでやりたいんです。今、自分のなかではすごく象徴的な一曲ですね。

柴那典の1曲目→「ぽあだむ」銀杏BOYZ


「ぽあだむ」銀杏BOYZ
2013/12/31UP 551,429play(2014/5)

 僕の一曲は銀杏BOYZの「ぽあだむ」です。

大谷 いやもう、これはたまんないっすね。

 これは、今大谷さんが言ったような「みんなで楽しもう」というもの、一体感を持って参加する音楽のあり方、真逆なものだと思います。

大谷 ですね。

 そして、リリースされた当初はそもそも9年ぶりというのもあったし、『光のなかで立っていてね』というアルバムが非常にノイジーな音でもあったし、いろいろ衝撃が先立ったんですけれど、これ、改めて聴くと非常にポップでいい曲だなって思うんですよね。

大谷 「ぽあだむ」は次の銀杏BOYZの指針みたいな気がしますよね。あのアルバムの中で、この曲だけちょっと浮いてる気がする。ポップスなんだよな。

 銀杏BOYZって、ライヴでの事件性もすごく強いし、破天荒なイメージをもたれがちなんですけれど、峯田和伸くんに会うと、すごく音楽オタクな、いい意味で普通の青年なんですよね。インタヴューをした時に「あなたにとってロックとは?」って訊いたら、「そばに寄り添ってくれるもの」って答えている。そういうところもこの曲には出てると思います。

大谷 そうですよね。音楽マニアなところがアルバム全編に思いっきり出てる。でも、銀杏BOYZの求心力ってすごいじゃないですか。やっぱり彼は現象を作れる人だと思うんですよね。だってこのアルバム、売れましたから。

 売れましたね。

大谷 それに、峯田くんって、その人自身がジャンルになってる人だと思うんですよね。郷ひろみとか小林旭もそう。つまり何をやっても郷ひろみになる。だから真似されるわけですよ。峯田くんもそういうところがある。それでいて音楽マニアの要素もある。すごくおもしろいですよね。音楽の楽しみ方として、語りたくなるところがほんとに多い。

 多いですよね。実際、たくさんの人が語ってましたから。

大谷 それも凄いことだな、と。

 あとは、大変だとは思うけど、新しいメンバーを入れてできるだけ早くライブやってほしいですね。

大谷 ほんとにね。

大谷ノブ彦の2曲目→「なあ〜んにも」爆弾ジョニー


「なあ~んにも」爆弾ジョニー
2014/03/16UP 69,574play(2014/5)

大谷 次は爆弾ジョニー。これこそ今の音楽好きなリスナーに「聴いとけ」って言いたいバンドですね。今のうちに知っとけば、ゆくゆく5年後に自慢できるから、って。こいつら、ほんと大好き。

 彼らは北海道出身なんですよね。

大谷 そう。こないだ、北海道で自分のDJイベントやった時に、この曲をフルでかけたんですよ。そしたら、お客さんみんな大合唱。鳥肌立つかと思っちゃった。全員、感情のメーター振り切ってましたね。

 すごい! 北海道ではもうスターなんだ。このサビのところ、全員目をむいて歌うところも、いいですよね。

大谷 いやあ、こういう人が出てきてほしかったんだよなって思いますね。こないだ、広島のフェスで一緒になったんですよ。そしたら控室でメンバー全員自分のバンドのグッズを着てた。そういうのも含めて全部いい!

 ははは! 普通のバンドはなかなか自分たちのグッズ着ないですよね。ライヴのアンコールの時に着替えてくるくらい。

大谷 そういうのじゃないんですよね。気取ってるところが一切ないからこそ、普段からグッズ着てるんですよ。で、銀杏BOYZとかゴーイング・ステディーを聴いて影響を受けて、そこから何も無理することなく音楽をやってるんです。こういう新しい才能を聴くとワクワクしますね。
 でもね、不思議なんですけど、40歳の僕が彼らのライブを観てる時は14歳になるんですよ。19歳とか20歳の若いバンドなのに、年上の人を見てるつもりになる。

 大人として見たら「いきのいい若いヤツらが出てきたな」って思うのが普通なんですけど—。

大谷 でも、それじゃつまんねえなって思っちゃう。そんなバンドですね。だからみんな早く聴いてほしいな。


次回も、「ヒトリエ」「SOHN」「Sam Smith」「Clean Bandit」「One Direction」と邦楽洋楽、縦横無尽にいい曲ガンガンかけちゃいます! 第2回「若いやつが洋楽聴かなくなってるなんて風評被害だぜ」は5/23更新予定です。

構成 柴那典

この連載について

心のベストテン

大谷ノブ彦 /柴那典

「音楽についてパァッと明るく語りたい! なぜなら、いい音楽であふれているから!」。ハートのランキングを急上昇しているナンバーについて、熱く語らう音楽放談が始まりました。 DJは、音楽を愛し音楽に救われてきた芸人、ダイノジ・大谷ノブ...もっと読む

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コメント

Pizzae_a 私も中学生になれるくらいの曲が大好き。 3年以上前 replyretweetfavorite

dnjbig 今の #ジャイアンナイト のモードについても語ってますね。ある意味。僕はここやるって決めた。引き受ける。 いつでも14歳にしてくれるナンバーは? [2014 SPRING |心のベストテン|柴那典 大谷ノブ彦 https://t.co/49lW33HHPz 3年以上前 replyretweetfavorite

shiba710 無料明日まで→ 3年以上前 replyretweetfavorite

Babar_Japan 4件のコメント http://t.co/FFPd4C9A5G 3年以上前 replyretweetfavorite