女子」の時代がやってきた

「肉食女子」「こじらせ女子」「女子会」「女子力」……どんどんと増えていく「女子」にまつわる言葉たち。「肉食女子」を命名した深澤さんは当初どういう意図で「女子」という言葉を使ったのでしょうか。そしてこれらの「女子」言葉から見えてくる、昨今の若い女性たちの特徴とは?
深澤真紀さんの新刊『日本の女は、100年たっても面白い。』から第1章の内容を特別掲載していきます。

まだまだ続く〝女子〞ブーム

80年代の「女の時代」から2000年代までは「カリスマ的な女」が時代を象徴してきたが、女性誌やネットを中心に〝女子〞という言葉が、使われるようになり、今や「女子の時代」である。

もともと〝女子〞は「1 おんなのこ。むすめ。⇔男子。2 女性。おんな。「―学生」⇔男子。」(『大辞泉』)という意味なので、「女の子」と「女性」の両方の意味があるのだが、それが「いくつになってもかわいらしさを忘れない女性」と「女の子」寄りの意味で広まるようになったのだ。

これは私が2006年に「草食男子」(2009年流行語大賞トップテン受賞)と一緒に名付けた「肉食女子」や、漫画家安野モヨコの名付けた「女子力」(2009年同ノミネート)などから流行したといわれている(とはいえ、私自身は「かわいらしい女性」という意味で女子を使ったわけではなく、女でも女性でもないフラットな言葉として使ったつもりだったのだが)。

その後も「女子会」が2010年同トップテンに、「こじらせ女子」が2012年同ノミネートになったり、「大人女子」「40代女子」など、多くの派生語が誕生し、ネットを中心に「30代や40代のくせに〝女子〞などとかわいこぶるな」などという批判も生まれた。

とうとう「anan」(2013年9月4日号)では、「大人の女性になるために、今すべきこと。」という特集のキャッチコピーとして「もう〝女子〞は卒業です!」と打ち出し、〝女子〞という言葉に甘える女性を「コドモ女子」と名付け、大人の女性へステップアップしようと提案して、話題になった。

それでもまだまだ〝女子〞ブームは続きそうな勢いではある。

そしてツッコミ系の女子カルチャーは「こじらせ女子」を生み出し、キラキラ系の女子カルチャーは女性の賞味期限を延ばしたのだ。

「負け犬」から「こじらせ女子」へ

自分で自分に突っ込んでしまう女の歴史は、1982年にコピーライターだった林真理子が初エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』で、女性の「ヒガミ、ネタミ、ソネミ」を赤裸々に描いた頃から始まった。

その後、90年代から2010年代にかけ一気に「自虐する女たち」が現れた。

漫画家・中尊寺ゆつ子が描いた「スイートスポット」に登場する、ゴルフや競馬を楽しみ、居酒屋に出入りする「オヤジギャル」が話題になったときは、今の草食男子以上に世間の評判は悪かったものだ。20年たった今となっては、ゴルフも競馬も居酒屋も女性客が重要な存在になっているので、隔世の感があるが。

漫画家・倉田真由美が描く「だめんずうぉ~か~」では、自身も含めて、だめ男に引っかかる女性を「だめんず」と言い切った。

エッセイスト・酒井順子による『負け犬の遠吠え』(講談社)では、30歳以上で結婚せず子供もいない女性を「負け犬」と表現して、未婚女性たちを慌てさせた。

ただし、酒井は単なる自虐ではなく、「勝ち犬」である既婚子持ち女性も、それはそれで大変だと書いてはいて、「負け犬」をむしろ楽しんでいたのだ。

これも「草食男子」同様に、流行語になって誤解された言葉の一つだ。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
日本の女は、100年たっても面白い。

深澤真紀

青鞜、モガ、オヤジギャル、だめんず、負け犬、こじらせ女子――ここ100年ほどだけでも、さまざまな名前をつけられてきた女たち。“草食男子”の名付け親・深澤真紀さんが私的に偏愛する「面白い日本の女」を紹介しつつ、女たちがいかに抑圧から解放...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

RieDorji いろんなタイプの女性が出てきて面白くなってきているけれど、男性のタイプはあまり変化無しっていう事? 4年以上前 replyretweetfavorite