第11回 春

響と会うため、ライブハウスに向かう未来と理真。歩き慣れない街に、ちょっとビクビクしております。

ボーカロイド楽曲の卒業ソング『桜ノ雨』をモチーフにした小説シリーズの完結編『桜ノ雨 僕らはここで逢おう』の発売を記念して、一部を公開します。
♪『桜ノ雨』動画はこちらから♪


『桜ノ雨』 作詞作曲:halyosy


 それから二十分程度で、例のライブハウスに着いた。だがそこはファーストフード店に様変わりしていた。
 ファーストフードの店員さんに聞いてみると、別の場所に移転したらしいとのことだった。
 周囲はテレビで見た通り、いや、もっと明るいネオン街だ。
 行き交う人々は、音浜町よりもずっと派手で陽気に見える。高校生とおぼしき雰囲気の少年少女があちこちに見受けられるが、女の子はメイクばっちり、男の子もシルバーのアクセサリーなどを付けている。
 これは……音浜町とはえらい違いだ。
 見知らぬ情景におののくわたしたちは、手を繋ぎながら歩いていた。すると真正面に、二人組の男性が寄ってきた。
「こんばんは~。二人ともめちゃめちゃ可愛いッスね~」
「どおも~。その感じだとまだ学生さんだよね?」
 スーツに第二ボタンまで開けたシャツ。動くたびに漂ってくるヘンな香水の匂い。
 この人たち……まさか、ドラマで見たホストってやつ……?
「自分たちで言うのも何だけど、うちイケメン揃いなんスよ~」
「絶対損はさせないからさ、ちょっと寄ってってよ」
 そう言うとホストは理真の肩を抱こうとした。驚いた理真が「きゃ」と体をひるませる。これ以上はまずいと悟ったわたしは理真の手をギュッと掴んだ。
「理真! 走って!」
「は、はい……っ!」

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桜ノ雨 僕らはここで会おう

雨宮ひとみ /halyosy

もしも初音ミクが音楽教師だったら…。 卒業ソングの定番ボーカロイド楽曲として、250万回以上の再生回数を誇る『桜ノ雨』。この名曲のノベライズ第3弾にあたる『桜ノ雨 僕らはここで逢おう』の発売を記念して、その一部を公開します。

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