与沢翼を秒速で読み解くために
ここ最近、「なんか怪しげな人」枠を占有していた“秒速で1億円を稼ぐ男”与沢翼が、自身のFACEBOOKに「資金が完全にショートしました」「フェラーリ、ロールスロイス、ベントレー3台を売却し、住宅なども全て解約」と書き、破綻寸前であることを明らかにした。その一報を聞いた私は、秒速でブックオフへと自転車を走らせ、秒速で与沢翼の著書をレジへ持って行き、31%オフだったサーティワンでアイスを買ってから、秒速で著書『秒速で10億円稼ぐ ありえない成功のカラクリ』を今、読み終えた。4段階のうち3段階、与沢翼ばりに急いでこなしたというのに、私の財布が特段潤った気配は無い。与沢翼がメディアを賑わせてから、彼はいつ転落するのだろうと待ちに待っていた人は多い。今ごろ「ふざけた野郎だったよ!」とのドヤ顔が安い居酒屋に並んでいるはずだが、与沢翼は本書で「アンチ大歓迎。私に1円の価値もなければ悪口を言ってもつまらない。無関心の方が恐ろしいですから」と書いており、ならば与沢翼にはまだまだ価値があって、「なんか怪しげな人」枠を占有し続ける気もする。
「デブの基本形」から距離を保ってきた与沢翼
与沢翼を読み解くには、彼が「デブ」ではなく「ぽっちゃり」だ、というところから考えていく必要がある。急にイイものを食うようになって太っちゃった成金デブは脂分がそこかしこから噴き出てくるものなのだが、与沢翼は風船を膨らませたかのような、弾力性のある太り方をしている。昨年、肥満気味の女子を「ぽちゃ子」と名付けたファッション誌『la farfa』がブレイクしたが、誰かにとやかく言われる前に当事者が素直に肥満を認めてしまえばいいという発想は大発明だった。渡辺直美や柳原可奈子の太り方には清潔感があるが、その清潔感と同質のものを与沢翼も持っている。つまり、裸にオーバーオールを着て汗だくでかき氷を食べる石塚英彦をデブの基本形だとすると、常に澄まし顔で汗ひとつかかず高級スーツを着込み続ける与沢翼は、デブの基本形から明確な距離を保ってきた。むしろ、「ぽちゃ子」に近い。
「座高測定の廃止」と与沢翼
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