エイミー・ワインハウス「最期に叶った夢と祖母との思い出」#1

“青春の終わり”と“人生の始まり”を象徴する「ミュージシャンたちの27歳」に迫るコラム。第1回目にご紹介するのは、2011年に亡くなったエイミー・ワインハウス。彼女も27歳でした。2008年のグラミー賞では5部門を受賞するなど、華々しいキャリアをもつ一方、波乱万丈で奔放な人生を送ったことでも知られています。そんな彼女は、亡くなる4か月前、とある夢を叶えるのですが……。

「私とおばあちゃんとは、いつもトニー・ベネットとフランク・シナトラについて言い争いになっていたの。私はベネットが大好きで、おばあちゃんはシナトラが好きだった」

命を削るように歌い、短い人生を駆け抜けたエイミー・ワインハウス。

酒に溺れ、ドラッグに溺れ、セックスに溺れる、放蕩の限りを尽くした女性シンガーというイメージが強調されがちだが、その一方で家族想いの優しい面もあった。

彼女が9歳の頃に両親が離婚するなど波乱に満ちた人生ではあったが、暮らしの中には音楽が溢れていた。

なかでもジャズ・シンガーとして活動した過去を持ち、サックス奏者ロニー・スコットと婚約関係にもあったという祖母のシンシア・レヴィと好きなジャズ・シンガーについて語る時間は、おばあちゃん子だったエイミーにとって幸せなひとときだった。

「おばあちゃんと一緒にキッチンに腰掛けて、よく話をしたわ。私が『大変! 今夜、トニー・ベネットのライブがあったの見逃しちゃったわ!』なんて騒いでると、おばあちゃんは肩をすくめながら『だからどうしたのよ? ただのトニーじゃない』なんておちょくってきたりね」

2006年に発表した『Back To Black』の世界的なヒットでスターダムへとのぼりつめたエイミーだったが、彼女を酒とドラッグの道へと引きずりこんだとされるかつての恋人、ブレイク・フィールダー・シビルとの激しくも破滅的な恋愛が再燃。

再び生活は荒み、リハビリ施設への入退院を繰り返す中、キャリアは停滞する。

2009年8月にブレイクと離婚。

その後、新たな恋人となった映画監督レグ・トラヴィスは、彼女との結婚を真剣に考えていたという。

その愛情に応えるようにアルコールやドラッグの依存から脱し、音楽活動への本格的な復帰を目指していた2011年3月、幼い頃からの憧れであったトニー・ベネットから、デュエットを録音するという機会を得た。

歌うはスタンダード曲「Body And Soul」。

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ミュージシャンたちの27歳—青春と人生のクロスロード

TAP the POP編集部

伝説になるためには27歳で死ぬのが条件!? 27歳で他界したミュージシャンたちは「27クラブ」と呼ばれ、音楽界では伝説となっています。その伝説に苦しめられる若いミュージシャンたちが大勢いる一方、27歳が転機となった人もいれば、全盛期を...もっと読む

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コメント

TAPthePOP @Kei_Kay エイミー・ワインハウスの27歳はコンテンツプラットフォームのcakesさんに記事を掲載させていただきました。よければご覧ください。 https://t.co/yiPigpvgfD 2年以上前 replyretweetfavorite

arihisa_aqoj いい記事だなぁ。これは今後、有料でも読みたくなる。 約4年前 replyretweetfavorite

powwow cakesでもTAP the POPの連載がスタート! 約4年前 replyretweetfavorite

bessie_tomoko 古い音楽に偏っているので、あまり新しい人はよく知らないんですが、 約4年前 replyretweetfavorite