『egg』休刊
『egg』2014年6月号
5月1日、「ギャルカルチャー」を黎明期から牽引していた『egg』(大洋図書)が、5月31日発売の7月号で休刊することが発表されました。 99年の絶頂期に一度休刊しているものの、すぐに復刊した時とは状況が違うというのは、昨年『men's egg』が休刊したことをみれば明らかだと思います。
そして「age嬢」という言葉を生み社会現象にもなった雑誌『小悪魔ageha』、ギャル雑誌『Happie nuts』などでお馴染みのインフォレストの事業停止も大きなニュースになりました。
ギャル雑誌に明るいニュースが少ない昨今、たしかに街を見ても派手なヘアスタイル・過度な露出……といった、「いかにもなギャル」は減っているような気がします。 これは東京だけの話ではなく、地方のイオンモールのアパレルショップで働く私の友人曰く「最近の若い子は派手なギャルは減ったよ。派手なのはアラサーばっかり!」とのこと。
とはいえ、ギャル文化は「なくなった」と考えるのは早急です。むしろ「拡散した」と言ったほうが正しいと私は考えています。
ネオギャル・LARME女子・清楚ギャル……拡散するギャルカルチャー
ではギャルの拡散とはどういう意味でしょうか。拡散するギャルカルチャーを追ってみましょう。
・「意識の高いギャル」——ネオギャル
ALISA 植野有砂オフィシャルブック
赤文字系の中でギャル色強めの『ViVi』(講談社)がプッシュしている「ネオギャル」の代表格は、ファッションブランド「FIG&VIPER」クリエイティブディレクターの植野有砂、「EVRIS」プロデューサー佐々木彩乃など。渋谷だけでなく原宿や海外のモード、セレブ系ファッションを取り入れ、TwitterやInstagramなどのSNSを駆使して自分たちのファッションやカルチャーを積極的に発信。海外志向も強く「意識の高い」発言も目立ちます。
・「ガーリー&アンニュイ」——LARME女子
LARME(ラルム)009 2014年05月号
『LARME』(徳間書店)は12年に創刊され、瞬く間に公称23万部に急成長。編集長が『小悪魔ageha』編集部出身ということも話題を呼んでいます。ギャル雑誌出身モデルやアイドルを中心に構成されている紙面は、「LARME的」としか言い様がないガーリー世界を構築。従来のギャル誌ほどアッパーではなく、「小悪魔ageha」ほど病みを強調するわけではない、アンニュイな雰囲気が幅広い層の支持を得ているのだと思います。
・「ギャル版ノームコア?」——清楚ギャル
『Popteen』(角川書店)2013年10月号の表紙には「GALの時代が変わる!清楚な女のコ宣言」とでかでかと書き方針転換。『Ranzuki』(ぶんか社)も人気モデルを多数卒業させたのち、2013年12月号から清楚系にリニューアル。
「Ranzuki」2013年11月号表紙。なつぅみこと斉藤夏海卒業特集号。
アイドルブームやガーリーな「LARME」のヒットもあり、黒髪や暗い髪色で清楚風なメイクの方が現代的なのかもしれません。今話題の「ノームコア(筋金入りのふつう)」とリンクしているのかどうかはさだかではありませんけど。
そして、カテゴリ分けしてみて改めて感じるのが「読者モデル(読モ)」という存在の弱さです。 次は「読モブーム」が何故収束していったのかを考えてみたいと思います。
ゼロ年代”読モ”ブームとはなんだったのか
ギャルカルチャーと「読モ」は90年代から密接な関係にあり、当時の読モブームを牽引した雑誌『東京ストリートニュース!』(学研)や『egg』からは、「スーパー高校生」と呼ばれる多数の”カリスマ”が生まれました。
11~12年にかけて、90年代の人気モデルたちを振り返る雑誌や書籍が続いて出版されました
90年代の「読モブーム」は「女子高生ブーム」でもあったので、彼女たちが卒業するとともに「カリスマ店員・美容師ブーム」などにとって変わられ収束していきました。
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