2014年春、SAMを考える必然性
「SAMって、安室と別れた後くらいから一切年取ってない感じがしますよね。逆に女性ダンサーのETSUとCHIHARUって、前からずっと年取ったままですよね。いずれにせよ、あの5人、ずっとキープしてます。もしかしたら不老不死ってTRFのことなんじゃないかと思って、だとすると不老不死って、そんなにいいもんじゃないのかもしれませんよね」。 こうして編集担当に、次回取り上げるのはTRFのSAMでどうでしょうとメールしたところ、しばらくして「ビッグダディあたりでどうでしょう? ピンとこなかったらSAMでもいいですけど……」とあまり気乗りしない返事がきた。今現在、芸能界に佇む誰よりもビッグダディにピンとこないので、これはどうやらSAMで書き進めていくしかないのである。
ただ者ではないが大物ではないTRF
TRFは見た目のカロリーが高い。しかし、内面というか思考のカロリーは高くない。近年の安っぽいミュージシャンがUSBに入れて常にコピペできるように持ち運んでいる「親しみやすさ」「等身大」といったアイテムは内蔵されていない。かといって「イージードゥダンス! フォー!!」は、ひたすら脳天気に乗り切っていたバブル臭を引きずっているわけでもない。あのハイテンションを維持・管理し続けられるのはなぜなのか。冷静に俯瞰してみると、この5人組には戦隊ヒーローが必ず用意する「正統派の赤」「おっちょこちょいな緑」「チャーミングなピンク」といった役割分担がなく、各々が自由に「ただ者ではない」とだけ思わせるオーラを発し、長年そのオーラを漂流させてきたことに気付く。ただ者ではないが大物ではない、と言おうか、それぞれがそれぞれで培養してきた見た目のカロリーの高さでロングランを続けてきたのだ。その年輪が、ここ最近のTRFからは風格として滲むようになり、テレビで見かけるたびにじっくり眺めてしまうのだ。
ビューティーに向かわないアンチエイジングがある
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