最終回 春

響が胸の内を語り始めた。未来たちはなんとか響に学校に戻ってほしいと言葉を尽くすが、頑なな響は聞く耳をもたず――。

ボーカロイド楽曲の卒業ソング『桜ノ雨』をモチーフにした小説シリーズの完結編『桜ノ雨 僕らはここで逢おう』の発売を記念して、一部を公開します。
♪『桜ノ雨』動画はこちらから♪


『桜ノ雨』 作詞作曲:halyosy


 ウィルさんは、当時の響がライブハウスの他に、引っ越し業者や、日雇いのバイトをしていたことを話してくれた。
「でも俺が聞いた限りだと“ギターを買いたいから”なんて話してたんだ、こいつは。それは生活費だったってことか」
—……」
「いや……おまえのことだから、学費も稼ごうとか考えてたんじゃないか……?」
 響は答えない。するとウィルさんは、わたしのほうに向き直った。
「先生、コイツ見てくれがこんなだから、街中でもつまんない連中に絡まれたり、ちょい前にここで起こった事件みたいなやつに巻き込まれやすいんですが……。妙にクソ真面目っつーか、馬鹿なところがあるんですよ」
 それは話を聞いていて、なんとなくわかった。響は不良なんかじゃない。パッと見や話し方で誤解されそうな雰囲気だけど、根は真面目で不器用で、音楽が好きな高校生なんだと思う。
「……響くん。学校のみんなは、あの事件があって響くんがこなくなっちゃったから、だから誤解してるの。でもそれだけなの」
 理真の声にわたしも頷いた。
—……」
「わたし、あなたと会うのは二回目だけど……。あなたが学校に出てきて、みんなと普通に接すれば、そんな事件を起こすような人物じゃないって……。すぐにわかることだと思うんだ。だから……!」

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桜ノ雨 僕らはここで会おう

雨宮ひとみ /halyosy

もしも初音ミクが音楽教師だったら…。 卒業ソングの定番ボーカロイド楽曲として、250万回以上の再生回数を誇る『桜ノ雨』。この名曲のノベライズ第3弾にあたる『桜ノ雨 僕らはここで逢おう』の発売を記念して、その一部を公開します。

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