松下幸之助
すぐれた人を活かす協力を/上役への思いやり
「職場は人生の道場。かけがえのない人生を、仕事を通じて自分の力で充実させていこう」――松下幸之助の超ロングセラー「心得帖シリーズ」を2冊合本にした『人生心得帖/社員心得帖』(PHPビジネス新書・松下幸之助ライブラリー)から、「中堅社員の心得」を公開します。
すぐれた人を生かす協力を
今ここに、百人なら百人の人からなる職場があるという場合、そのうちの一人なり二人が非常に当を得た考えをもっている、また働きも非常に当を得ていて、大きな成果をあげている、というようなことが、どこの会社にもあると思います。そういうとき、その一人なり二人のすぐれた人が、職場の中で重要な地位に立つようになれば、そのことによって、その職場は全体として非常に高まっていくものだと思います。
以前、私の知っているある中堅企業でも、こんなことがありました。その会社は、だいたい可もなし不可もなし、という経営状態だったのですが、新たな拡大をはかりたいということで、十人の人を思いきって採用したところ、そのうちに二人ばかり、非常にすぐれた人がいたのです。そこで、その会社の社長はその二人を抜擢しました。もちろん、中規模の企業ですから、長く勤めて経験豊かな人もたくさんいたわけですが、いわゆる新知識をもった人は少なかった。そこへ新知識をもったすぐれた二人が加わったものですから、入社して日が浅いにもかかわらず、社長はその二人を非常に優遇したのです。
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この連載について
松下幸之助
「職場は人生の道場。かけがえのない人生を、仕事を通じて自分の力で充実させていこう」――松下幸之助の超ロングセラー「心得帖シリーズ」から、人生と仕事の心構えを説く2冊を合本にした『人生心得帖/社員心得帖』(PHPビジネス新書・松下幸之助...もっと読む
著者プロフィール
パナソニック(旧松下電器産業)グループ創業者、PHP研究所創設者。明治27(1894)年、和歌山県に生まれる。9歳で単身大阪に出、火鉢店、自転車店に奉公ののち、大阪電燈(現関西電力)に勤務。大正7(1918)年、23歳で松下電気器具製作所(昭和10年に松下電器産業に改称)を創業。昭和21(1946)年には、「Peace and Happiness through Prosperity=繁栄によって平和と幸福を」のスローガンを掲げてPHP研究所を創設。昭和54(1979)年、21世紀を担う指導者の育成を目的に、松下政経塾を設立。平成元(1989)年に94歳で没。