【ネタバレあり、未読のひとはご注意ください】
—— 当初は全7巻の予定が、全13巻に倍増した原因は?
浅野いにお(以下、浅野) ひとつひとつのシーンを丁寧に描きたかったというのもあるんですけど、予定してなかったキャラクターがどんどん出てきて、それぞれのエピソードがふくらんじゃったからですね。
—— たとえば誰が想定外でした?
浅野 雄一おじさんっていう、プンプンの叔父さんは1話目から出てきてるんですけども、まさか雄一おじさんの過去を丸一巻ぶん描くことになるとは全く予想してなかった。あと、神様っていうのも最初はあんなに出すつもりはなかったんですよ。一話目のネームの時におもしろくて入れちゃっただけで。
『おやすみプンプン』4巻より雄一おじさんと翠
—— ノリで出したら、尾を引いたパターン(笑)。
浅野 そういうことばっかりです(笑)。関君とシミちゃん(清水)っていう仲良し二人組だとか、中盤から出てくる「ペガサス」っていう変な人も、全部途中から入ってきちゃったキャラクターですね。
—— 「ペガサス」こと星川としき率いる「ペガサス合唱団」は、物語の後半で異様なボリュームを伴って描かれますよね。彼らの存在はいったい何だったんでしょうか?
『おやすみプンプン』11巻よりペガサス合唱団
浅野 あれはみんなわからないだろうなと思っていました(笑)。ペガサスが出てきたのは7巻の途中なんですけど、プンプンが高校を卒業して一人暮らしを始める、一番何も起こらない時期だったんですね。狭いアパートの中で、プンプンがただ悶々としてるだけで。それを描くというのは自分がやりたかったことのひとつなんだけど、さすがに間が持たないから、まったく別軸の話を盛りこまきゃなと思って。
—— ええ。
浅野 その時に、前に出したペガサスっていうキャラクターを使って、別サイドの話をやってみようかなと思ったんです。プンプンと愛子ちゃんの話がラブコメのオマージュになってるみたいに、実はペガサス合唱団は少年誌へのオマージュなんです。
これ絶対誰もわかんないと思うんですけど、ペガサスは仲間を集めて本当に悪の存在と戦ってたんですよ。
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