不道徳を許せるようになってしまった大人たちへ。

『おやすみプンプン』を描くことで、自分で自分にかけた“呪い”が解けたと浅野いにおさんは言います。プンプンが抱える巨大な不安に最後まで寄り添い続けたからこそ、その境地に到達できた浅野さん。そして、このマンガには実は、影の主人公がいると語ります。それは誰なのでしょうか? 連載中に起きた東日本大震災から、マンガ家はどのような影響を受けたのでしょうか? 本作の持つ「不健全なおもしろさ」を語る言葉から、次に描き出す新連載の輪郭が見えてきました。(全5回、聞き手・ライター 吉田大助)

【ネタバレあり、未読のひとはご注意ください】

— 当初は全7巻の予定が、全13巻に倍増した原因は?

浅野いにお(以下、浅野) ひとつひとつのシーンを丁寧に描きたかったというのもあるんですけど、予定してなかったキャラクターがどんどん出てきて、それぞれのエピソードがふくらんじゃったからですね。

— たとえば誰が想定外でした?

浅野 雄一おじさんっていう、プンプンの叔父さんは1話目から出てきてるんですけども、まさか雄一おじさんの過去を丸一巻ぶん描くことになるとは全く予想してなかった。あと、神様っていうのも最初はあんなに出すつもりはなかったんですよ。一話目のネームの時におもしろくて入れちゃっただけで。


『おやすみプンプン』4巻より雄一おじさんと翠

— ノリで出したら、尾を引いたパターン(笑)。

浅野 そういうことばっかりです(笑)。関君とシミちゃん(清水)っていう仲良し二人組だとか、中盤から出てくる「ペガサス」っていう変な人も、全部途中から入ってきちゃったキャラクターですね。

— 「ペガサス」こと星川としき率いる「ペガサス合唱団」は、物語の後半で異様なボリュームを伴って描かれますよね。彼らの存在はいったい何だったんでしょうか?


『おやすみプンプン』11巻よりペガサス合唱団

浅野 あれはみんなわからないだろうなと思っていました(笑)。ペガサスが出てきたのは7巻の途中なんですけど、プンプンが高校を卒業して一人暮らしを始める、一番何も起こらない時期だったんですね。狭いアパートの中で、プンプンがただ悶々としてるだけで。それを描くというのは自分がやりたかったことのひとつなんだけど、さすがに間が持たないから、まったく別軸の話を盛りこまきゃなと思って。

— ええ。

浅野 その時に、前に出したペガサスっていうキャラクターを使って、別サイドの話をやってみようかなと思ったんです。プンプンと愛子ちゃんの話がラブコメのオマージュになってるみたいに、実はペガサス合唱団は少年誌へのオマージュなんです。
 これ絶対誰もわかんないと思うんですけど、ペガサスは仲間を集めて本当に悪の存在と戦ってたんですよ。

— ええっ?!

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完全】さよならプンプン【ネタバレ】浅野いにおインタビュー

浅野いにお

初恋、失恋、童貞喪失、家族との確執、大恋愛。フツーの男子の人生に起こるイベントを、丁寧に、厳密に描く……と思いきや、終盤でまさかの「事件」が起こり、誰も見たことのない地平へと突き抜ける。浅野いにおさんのマンガ『おやすみプンプン』が、お...もっと読む

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コメント

chara_zokusei おやすみプンプンは、ペガサスが本当に地球を滅ぼす存在(翠)と戦っていたという視点を得てからグッと深まりが増しました。 https://t.co/QIuvEF6uGG 昔読解も書きました おやすみプンプン読解1 : キャラ属性王国… https://t.co/vZW4shfwev 5ヶ月前 replyretweetfavorite

mykyyyyyyy 浅野 青年誌のマンガは、 約4年前 replyretweetfavorite

ushirogami ! https://t.co/uMVXEHqieL 約4年前 replyretweetfavorite

manaview @amatomato1 いや、ペガサスたちの戦いと『4D』(『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』長いので僕はこう略そうかと)が関連しているかは僕の勝手な想像なので。浅野さんのインタビューこれです→ https://t.co/uPPuWCBaqh 約4年前 replyretweetfavorite