巨大ロボット同士の戦い」に説得力をもたせたパトレイバー

『THE NEXT GENERATION パトレイバー』プロジェクトのスタートにあわせて振り返ってきた、アニメ映画版『パトレイバー』評はついに最終回。今回は『機動警察パトレイバー 2 the Movie』を中心に、押井守監督が作品に散りばめたモチーフについて解説します。なぜパトレイバーはスタートから25年経った今でも新鮮な驚きを与えてくれるのか。その秘密を解き明かします。

最終回は『機動警察パトレイバー 2 the Movie』略して「劇パト2」について解説したい。

押井守が作品に散りばめたモチーフ


機動警察パトレイバー 2 the Movie

1993年に公開された「劇パト2」のリアルさは、ある大事件をきっかけに注目されることになった。「劇パト2」では毒ガスを使った都市攻撃のシーンがあるのだが、現実では1995年に地下鉄サリン事件が起きたのだ。さらに当時の日本ではオウム真理教に破壊活動防止法を適用するか否かで大揉めだったが、「劇パト2」でも破壊活動防止法が登場していた。

その後2001年にアメリカ同時多発テロが起きたときも再び「劇パト2」は注目された。当時の日本映画では組織的な都市型テロを描いた作品は珍しかったので、「劇パト2」は事件が起きるたびに注目された。

「劇パト2」は押井守監督の戦争論が込められた作品だけど、まず私はこの映画の戦争論が好きではない。それは政治思想的な意味ではなくて「難しい言葉で戦争論を語っているから」という単純な理由だ。押井守の魅力といえば、難しい言葉とややこしい文脈を使った語りだけど、さすがに戦争論でそれをやられるとネット上のタチの悪い書き込みを見ているような気分になってくる。

しかし戦争論以外の部分では「劇パト2」は間違いなく傑作だ。「劇パト2」はモチーフ付けを相当多用している。押井守監督にとっては「いつものこと」だけど、押井守ファン以外の人にはかなりわかりにくいので、いくつか選んで解説しよう。

「劇パト2」は随所に鳥が登場するけど、これは「虚構」や「神の視点」を意味する。たとえば刑事が偽の映像を探し求めるシーンは何度も鳥が背景に登場する。これは「刑事が探しもとめているのは虚構ですよ」という意味付けになっている。

その一方でヒロインを見つめる鳥や、ラストシーンで鳥に囲まれた悪役などは「神の視点」を意味する。また、押井守作品では「魚=言葉」という意味を持つので、会話シーンには魚が出てくる。

バーチャル・リアリティを取り入れる

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大人のためのパトレイバー入門

破壊屋

今回破壊屋さんが紹介してくれる映画は、実写版の上映がスタートしたばかりの人気ロボットSFシリーズ「パトレイバー」。といっても、今回の実写版と同じ押井守が89年に監督を務めた『機動警察パトレイバー the Movie』と93年公開の『機...もっと読む

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コメント

ameda__ パトレイバーのアニメ映画2作目の解説だけど、これよんでまた見直したくなった→: 4年弱前 replyretweetfavorite

muenchen1923  「主人公たちがコンビニで食糧を買い占めるシーンがある。//東日本大震災後にスーパーやコンビニから食料品が消えた姿を目撃した現在では笑えなくなってしまった。 」 4年弱前 replyretweetfavorite

matomotei 他1コメント http://t.co/JAWgTHUSyq 4年弱前 replyretweetfavorite

matomotei 他1コメント http://t.co/JAWgTHUSyq 4年弱前 replyretweetfavorite