カイジ「勝つべくして勝つ!」働き方の話 【第9回】戦略的に「タダ働き」をせよ

大人気マンガ『カイジ』をもとに、お金の知識を解説した『カイジ「命より重い!」お金の話』の続編となる『カイジ「勝つべくして勝つ!」働き方の話』を上梓した木暮太一さん。この連載では、逆境に立ち向かい、挑戦し、生き抜いていくカイジに生き様にスポットをあて、強く生きるためのヒントを紹介していきます。

漫画『賭博黙示録 カイジ』とは?

自堕落な日々を過ごす主人公、伊藤開司(いとう・かいじ)。そのカイジが多額の借金を抱えたことをきっかけに「帝愛グループ」をはじめとする黒幕との戦いに挑んでいく大人気漫画。命がけのギャンブルを通じて、勝負師としての才能を発揮するカイジだが、その運命は果たして・・・。

(作者:福本伸行講談社『週刊ヤングマガジン』で1996年11月号~1999年36号まで連載された作品)

タダ働きすることでしか自分を高めることはできない

4月になり、真新しいスーツに身を包んだ新社会人たちを見かけるようになりました。彼らを見ていると、10年以上前に自分が入社したときのことを思い出します。入社してすぐのころは、毎日のように研修やトレーニングがあって、クタクタになったなぁと。

先日、学生時代の友人と飲みに行ったのですが、彼は、「後輩に仕事を頼むと『できません』とすぐに言うんだ」とこぼしていました。

「どうしてできないのか尋ねたら『やったことがないからできません』って言うんだよ。だからやらせようとしてるんだって、なんでわからないんだろうなあ・・・」

新しい仕事を覚えるのは大変なことです。普段の仕事の倍以上の時間も労力もかかるでしょう。そのために残業したり、自宅に仕事を持ち帰ったりすることもあるでしょう。会社員時代、ぼくにも経験があります。

でもぼくは、そういう状況を「自主レン」と自分に言い聞かせていたように思います。「いつか、自分が本当にやりたい仕事をするための自主レンの時期なんだ」そう思って、上司や先輩から頼まれたこと(自分の仕事とは関係ないこと)も一生懸命やっていたと思います。

ぼくの友人が悩んでいるように、この「自主レン」を嫌う人たちが増えているのかなと感じることがあります。そういう人たちは頼まれた仕事を「自主レン」ではなく「タダ働き」と捉えているのかもしれません。

ぼくたち労働者は、働いたら働いた分だけ報酬をもらいたいと感じます。それは自然なことで、悪いとは思いません。しかし、ぼくは敢えてこう言いたいと思います。

「報酬を受け取らずに、タダ働きすることでしか自分を高めることはできない」

これはもちろん、給料をもらわずに働け、ということではありません。自分の将来に必要なことであれば、たとえ報酬をもらえなかったとしても引き受けるべきということです。

その仕事は、会社にとって必要だから存在している

「自分が成長できる仕事がしたい」という言葉をよく聞きますが、自分が成長できるかどうかで仕事を選んでいると、根本的に働くことが辛くなってくるかもしれません。なぜなら仕事は、会社員という個人の成長のためではなく、依頼主(会社、クライアント)のためにあるものだからです。

たしかに、その仕事を通じて自分が成長できたり、自分がやりたいことができるようになったりすることもあるでしょう。それは、非常に喜ばしいことです。しかし、多くの場合は、違います。会社でみなさんが仕事を割り当てられているのは、みなさんを成長させるためではなく、会社にとってその仕事が必要だからです。会社での仕事は、基本的には「他の誰かのための仕事」です。自分のためにならないことも多いのです。

冒頭でお伝えしたように、僕が社会人になったばかりのころは、新入社員には長期間にわたるトレーニングがありました。けれど最近は、このいわゆるトレーニング期間がどんどん短くなっていると聞きます。新入社員でもすぐに実戦に出なければいけないため、自分がやりたいことをするには、それができるくらいの実力まで「自分で練習するしかない」のです。

その練習は、もちろん「自分のため」なので、報酬をもらえるとは限りません。というより、「まだ実力を高めていない自分」に報酬をくれる人は少ないでしょう。

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木暮太一の「経済の仕組み」

木暮太一

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