カイジ「勝つべくして勝つ!」働き方の話 【第8回】都合の悪いことは「秘密」になる社会

大人気マンガ『カイジ』をもとに、お金の知識を解説した『カイジ「命より重い!」お金の話』の続編となる『カイジ「勝つべくして勝つ!」働き方の話』を上梓した木暮太一さん。この連載では、逆境に立ち向かい、挑戦し、生き抜いていくカイジに生き様にスポットをあて、強く生きるためのヒントを紹介していきます。

漫画『賭博黙示録 カイジ』とは?

自堕落な日々を過ごす主人公、伊藤開司(いとう・かいじ)。そのカイジが多額の借金を抱えたことをきっかけに「帝愛グループ」をはじめとする黒幕との戦いに挑んでいく大人気漫画。命がけのギャンブルを通じて、勝負師としての才能を発揮するカイジだが、その運命は果たして・・・。

(作者:福本伸行講談社『週刊ヤングマガジン』で1996年11月号~1999年36号まで連載された作品

「100%果汁」表示で販売されていたジュースが、じつは果汁30%程度だったというニュースを見ました。こうした「偽装」「誤表示」「違法表記」などの問題発覚がここのところ相次いでいて、ぼくもついつい「またか」なんて思ってしまいます。

消費者としては「もう、何を信じていいか分からない」という気持ちになっている人も多いのではないでしょうか。

問題を起こした企業を叩いているだけでは、自分の身を守ることはできません。企業が正しい情報を正直に伝えるという倫理が崩れてきている以上、ぼくたちは対価を支払い、自分の目で確かめて、情報を選んでいく必要があるのです。安全で正確な情報は、タダで手に入るものではありません。コストをかけて、手に入れなければいけないのです。

漫画『カイジ』に、一夜で借金を返済できるギャンブル船、エスポワール号というものが登場します。そこに乗り込んだ人たち(借金を抱えたどうしようもない人たちばかりです)が、ホスト役の「利根川」に対して、「ちゃんと説明しろ! 俺達には知る権利がある!」と主張します。

ここで利根川の名言が出ます。

おまえたちは皆・・・・ 大きく見誤っている・・・・
この世の実体が見えていない
まるで3歳か4歳の幼児のようにこの世を自分中心・・・・
求めれば・・・・ 周りが右往左往して世話を焼いてくれる
そんなふうに まだ考えてやがるんだ 臆面もなく・・・・!
甘えを捨てろ お前らの甘え・・・・その最たるは
今 口々にがなりたてたその質問だ
質問すれば答えが返ってくるのが当たり前か・・・・?
なぜそんなふうに考える・・・・?
バカがっ・・・・!

これは、世の中の厳しさ、資本主義経済の本質を捉えた言葉です。家族や一部のコミュニティ内では、見返りを求めずに相手に何かをしてあげる、相手の為を思って教えてあげるということがあるでしょう。しかし、社会に出たらそうとは限りません。

また、利根川が言うように、相手からの質問に答えるのは、自分のためであることが多いです。答えたほうが自分にメリットがあるから答える、答えるメリットがないとき、答えることがデメリットになるような時は答えないということが、よくあります。

教えてもらうにはお金がかかる

ここで、知らなければいけないことがあります。それは「教えてもらうにはお金がかかる」ということです。学校や家では、質問すれば、無料で「答え」が返って来ました。しかし、世間ではそうはいきません。

実社会では「特に、都合が悪くないこと」であっても、無料では答えてくれません。よくツイッターやフェイスブックなどで、「質問したのに答えてもらえなかった」「無視された」と愚痴を言っている人を見かけます。おそらく「聞いているのだから、答えるのが当然」と考えているのでしょう。

「傷つけられた」「不当に奪われた」「理不尽なことをされた」ということで怒るのは理解できます。ですが、「お願いしたのに、◯◯してくれなかった」と怒る権利はあるのでしょうか?

考えてみてください。

なぜ、あなたの質問に答えなければいけないのでしょうか?
なぜ、貴重な時間を、あなたの為に使わなければいけないのでしょうか?
なぜ、苦労して蓄えたノウハウをあなたに無料で放出しなければいけないのでしょうか?

現代では、教えてもらうことは有料です。情報は有料なのです。何かを教えてもらおうとしたら、お金を払って講座を受講したり、書籍や雑誌を買って勉強しなければいけません。ビジネスを教えてもらう時にはコンサルティング料を払わなければいけません。

一見、無料に見えるテレビやラジオの情報だって有料です。実際にお金は払いませんが、CMを見る(聴く)という対価を払って情報を得ています(NHKには受信料を払っていますね)。

チップの習慣がない日本人には、形がないものにお金を払うという感覚がよく分かりません。情報はタダ、サービスは無料と考えがちです。しかし、それは間違いです。情報は有料です。お金を払わなければ教えてもらえないのです。

もちろん、タダで得られる情報もあります。しかしそれは、「その程度」のものか、もしくは利根川が言うように、打算的に出された情報なのです。

Googleで検索して調べられることもたくさんあります。ですが、本当に重要な情報はインターネットには載っていません。お金を払ってわざわざ聞きに行かなければいけないのです。教えてもらうのは有料。社会に出たら、頭を切り替えなければいけません。

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木暮太一の「経済の仕組み」

木暮太一

10万部超のベストセラー『今まで一番やさしい経済の教科書』などのビジネス書で知られる著者が、なんとなく分かったつもりになっていた「経済の仕組み」を懇切丁寧に解説します。ビジネスパーソンの基礎力を高めたいなら必読です。

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AileenTylor |木暮太一の「経済の仕組み」|木暮太一|cakes(ケイクス) https://t.co/DAEdxiooTk 約4年前 replyretweetfavorite