カイジ「勝つべくして勝つ!」働き方の話 【第7回】「賃上げ」よりも、会社に要求したほうがいいこと

大人気マンガ『カイジ』をもとに、お金の知識を解説した『カイジ「命より重い!」お金の話』の続編となる『カイジ「勝つべくして勝つ!」働き方の話』を上梓した木暮太一さん。この連載では、逆境に立ち向かい、挑戦し、生き抜いていくカイジに生き様にスポットをあて、強く生きるためのヒントを紹介していきます。

漫画『賭博黙示録 カイジ』とは?

自堕落な日々を過ごす主人公、伊藤開司(いとう・かいじ)。そのカイジが多額の借金を抱えたことをきっかけに「帝愛グループ」をはじめとする黒幕との戦いに挑んでいく大人気漫画。命がけのギャンブルを通じて、勝負師としての才能を発揮するカイジだが、その運命は果たして・・・。

(作者:福本伸行講談社『週刊ヤングマガジン』で1996年11月号~1999年36号まで連載された作品

今年の春闘は、久々の「賃上げ春闘」になりました。増税前の明るい兆しということで、今後の動向に期待が膨らみます。経団連に加盟する一部の大企業だけでなく、国民全体が恩恵を受けられる本当の賃上げを目指して、引き続き政策を実行してもらいたいと思います。

世の中の景気がよくなることはありがたいですが、だからといってビジネスマンとして安泰ということには、やっぱりならないと思います。会社が定年まで自分を守ってくれるという幻想はとっくに消えているはずです。自分の身は自分で守るということが、これからもずっと必要になるでしょう。

そこで今回は、ビジネスマンが職場で陥りがちな危機的状況と、その対処法について、ご紹介したいと思います。

「ブラック企業」は、従業員が作り出す!?

ある企業の調査で、男女500人に対し「自分の働いている会社を『ブラック企業』だと思いますか?」という質問をしたところ、およそ3割の人が「そう思う」と答えたそうです。(参照 https://www.smartsurvey.jp/board/press_view/110

労働者を限界ギリギリまで(または限界以上に)働かせ、働けなくなったら切り捨てるという、まさに血も涙もない企業があることは事実ですが、この問題を「その企業の経営者が悪い」「企業特有の問題」として捉えていると、解決の糸口を見失ってしまうのではないかと思います。

労働者を搾取するブラック企業は経営者の考え方や会社の風土が原因と考えられることが多いです。しかし、企業がそういう態度に出られるのは、労働者が会社に過度に依存しているからではないでしょうか。

漫画『カイジ』の中で、労働者とブラック企業の関係を如実に示すゲームが出てきます。カイジが利根川と勝負した「Eカード」というゲームです。

これは「皇帝」と「市民」と「奴隷」という3種のカードを使って行うゲームなのですが「市民(一般の労働者)」は、皇帝(経営者)には勝てません。経営者を打ち負かすことができるのは、悪条件での労働を強いられている「奴隷」です。

このゲームに関して、帝愛グループの兵藤会長は次のように言っています。

「貧乏人は王にならんと金を求め・・・逆に現在いる『王』の存在をより磐石にする」

皇帝が自然に皇帝になるわけではありません。周囲が皇帝の富と権力に憧れ、そのおこぼれに預かろうとするがゆえに皇帝に従い、それによって皇帝は絶大な権力を握っていくのです。

現代社会においても同じことが言えるのではないでしょうか?

兵藤会長が語った理屈をそのまま現代に当てはめると、「皇帝」として君臨するブラック企業の経営者は、自然に「皇帝」になるわけではありません。その皇帝に依存する「奴隷」がいるからこそ、ますますその権力を強めて、ますます奴隷を虐げていく、ということになります。

従業員が持っているのは「おこぼれに預かろう」ではなく、クビになりたくないので、なんとかその会社に居続けようという意識です。つまり、会社への依存です。

どんな劣悪な条件を提示されても、どんなパワハラをうけても、その会社にとどまるしか道がない(と思っている)人たちは、その条件下で働かざるを得ません。

会社への依存度が強くなればなるほど、企業はブラックになりやすく、経営者が"皇帝"のようにふるまう土壌ができ上がっていくのです。

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木暮太一

10万部超のベストセラー『今まで一番やさしい経済の教科書』などのビジネス書で知られる著者が、なんとなく分かったつもりになっていた「経済の仕組み」を懇切丁寧に解説します。ビジネスパーソンの基礎力を高めたいなら必読です。

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