先週、東洋経済オンラインに、ニューヨークタイムズ紙の興味深い翻訳記事が掲載されていました。
敏腕ジャーナリストが「紙」から去るワケ 答えはテクノロジーにあり | The New York Times - 東洋経済オンライン
2月にこのコラムでハフィントンポストの戦略について書いた際にも述べましたが、ハフポストの強みは現在のウェブ世界の構造に最適化された編集・発信のシステムにあります。この記事に出てくる「ボックスメディア(Vox Media)」というニュースサイトも、ハフポストと同様のシステムを持つメディアです。このようなメディアのことを「バイラルメディア」と呼びます。
私自身、前職の「日経ビジネス」誌において2001年にオンラインマガジン「日経ビジネスExpress」(現・日経ビジネスオンラインの前身)の立ち上げと、コンテンツ管理システム(CMS)の設計・開発に携わったことがあります。またその当時、私たちと一緒にそのシステムを開発したメンバーは、その後チームごと独立して「JBPress」というウェブに特化したニュースサイトを設立しました。
そんなわけで、旧来のマスコミやウェブメディアがどのような思想でシステムを作りあげてきたのか、よく知っています。それだけに、この記事に出てくるようなワシントンポスト紙から移籍したエズラ・クライン記者や、エンガジェットから移籍したジョシュ・トポルスキー編集長の気持ちは、どちらも非常によく分かります。
既存の仕組みをITに置き換えただけのマスコミ
しかし、上記のニューヨークタイムズの記事には、ボックスメディアの「コーラス」というシステムがどのようなものなのか、以下のような記述しかありません。