山内宏泰
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バルテュス展」——それは性愛か?
1908年に生まれ2001年に没したバルテュスは、いま最も注目されている画家の一人であり、今後20世紀の代表的な画家になるだろうと言われています。彼は、あられもない姿と物憂げな表情が特徴的な少女を描いた作品を多く残し、それはときに批判の対象ともなりました。彼は少女のどういう点に美をみいだしたのでしょうか? 東京都美術館で本日より開催の「バルテュス」展をご紹介します。
唐突ですが、20世紀を代表する画家はだれか? そう問われたらなんと答えますか? ピカソを挙げる人が最も多そうですね。またはマティスとか、シャガール、抽象的な画面をつくったポロックや、現代美術に明るい向きはゲルハルト・リヒターなどを推すかもしれません。
そうした評価は、時代によって移り変わります。たとえば、いまたいへん注目度の高いフェルメールは、17世紀に没したあと、200年ほどのあいだ、まったく忘れ去られた存在でした。19世紀に「これはすごい」と叫ぶ人が現れ、現在の人気につながっていきます。
20世紀の画家の人気や重要度も、これからどんどん変化していくことでしょう。きっとこれから人気がますます上がるであろうと想像できる画家が、ひとりいますよ。その名はバルテュスです。
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この連載について
山内宏泰
世に“アート・コンシェルジュ”を名乗る人物がいることを、ご存じでしょうか。アートのことはよく知らないけれどアートをもっと楽しんでみたい、という人のために、わかりやすい解説でアートの世界へ誘ってくれる、アート鑑賞のプロフェッショナルです...もっと読む
著者プロフィール
ライター。美術、写真、文芸その他について執筆。著書に『写真のフクシュウ 荒木経惟の言葉』(パイインターナショナル)『写真のフクシュウ 森山大道の言葉』(パイインターナショナル)『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』(星海社新書)『写真のプロフェッショナル』(パイ インターナショナル)『G12 トーキョートップギャラリー』(東京地図出版)『彼女たち』(ぺりかん社)など。東京・代官山で毎月第一金曜日、写真について語るイベント「写真を読む夜」を開催中。東京・原宿のスペースvacantを中心に、日本写真を捉え直す「provoke project」開催中。
公式サイト:http://yamauchihiroyasu.jp/