枕草子に書き残された「おぼかたならぬ人」の意味
小保方、という聞き慣れない名字。当方、大学時代に古典文学を少々かじっていたものだから、ふと、枕草子の一節、「おぼかたならぬ人、二三人ばかり召し出でて、碁石して数置かせ給ふとて」を思い出してしまう。「おぼかたない」という言葉はとりわけ教養のある女性に向けて使われた言葉で、枕草子ではその様子を「いかにめでたうをかしかりけむ」(どんなにか優雅であって、微笑ましく朗らかであったことでしょうか)と続けている。中宮定子に仕えた栄千代はこの「おぼかたない」という言葉を好んでよく使った。地位の高い女性を敬う意味合いもあったという。小保方、という珍しい名字だが、奇しくも古き書物が物語っていたのだろうか。
割烹着に飛び火してパーソナルな部分を焼け焦がす
はい、この上の段落は全部嘘です。「おぼかたない」なんて言葉はありません。栄千代なんて人はいません。当方は大学時代に古典文学をかじってもいません。引用部分は枕草子の一部を適当にコピペして捏造したものです。万が一、上の段落をひとまず「ふ~ん、そうなんだ」と読み進めてしまった人がいたとしたら、この騙され方が小保方氏周辺で起きた出来事と極めて似ていることにお気付き願いたい。
今年に入ってから突如席巻した「STAP細胞」という言葉、実は今でもほんわかしか知らない。少し前のクラシックもそうなんだが、この手の騒ぎがどこまでも肥大化する時というのはその対象が「なんとなく知ってはいるけれど、実は語るほどまでは知らなかったもの」であることが多い。加えてその主人公がロン毛にサングラスで耳が聞こえなかったり、理系で女子で祖母からもらった割烹着を着ていたり、分かりやすい付属アイテムを重ねて持っていると、捏造に向けられた世間様からの火の粉は付属物であるロン毛や割烹着に飛び火して、より派手に燃え広がる素材でできているパーソナルな部分を真っ先に焼け焦がしていく。
行ってらっしゃいと、集団リンチ会場へと送り出した非道さ
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