身体同士が譲り合う

重度の自閉症を抱えながらも、社会を鋭く見つめている作家・東田直樹さんの連載です。
自閉症者のなかには、脳の情報処理に難しさが生じた結果、「感覚が過敏になる」方もいるそうです。東田さんにも、そういった症状があるようですが、その世界は「障害」という言葉では括れない、豊かで鮮やかな世界のようで……。
感覚の違いが、純粋におもしろく感じられる、今回のコラムです。

 夜になって眠る直前、僕は天井をじっと見つめることがあります。
 すると、天井との距離が縮まって、自分と天井が一体化したような感覚に陥るのです。

 花などを見た時には、花びらの一枚一枚やおしべ、めしべなど、花全体というよりも部分が目についてしまいます。この世界にどっぷりとひたり、身動きできなくなってしまうのです。

 僕にとって、このふたつは、似ているようで少し違います。
 天井は、向こうから迫ってくる感じですが、花は自分から飛び込む感じだからです。

 目で見るということは、脳が物体を認識することです。
 それなのに、自分の体ごとその世界に入り込んでしまうこのような錯覚は、とてもおもしろいものだと思います。

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跳びはねる思考—22歳の自閉症作家が見た世界

東田直樹

「僕は、まるで壊れたロボットの中にいて、操縦に困っている人のようなのです。」 会話ができないもどかしさや意に沿わない行動をする身体を抱え、だからこそ、一語一語を大切につづってきた重度自閉症の作家・東田直樹。 小学生の頃から絵本...もっと読む

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コメント

shayashi41 https://t.co/d1C2BIKJzS http://t.co/WW0M3tOiAZ 3年以上前 replyretweetfavorite

smileai5564 目が脳に見せたい映像か。豊かだなぁ…。 3年以上前 replyretweetfavorite

jeep8666 是非読んでみてください。感覚がクリアーになる気がします 3年以上前 replyretweetfavorite