夜になって眠る直前、僕は天井をじっと見つめることがあります。
すると、天井との距離が縮まって、自分と天井が一体化したような感覚に陥るのです。
花などを見た時には、花びらの一枚一枚やおしべ、めしべなど、花全体というよりも部分が目についてしまいます。この世界にどっぷりとひたり、身動きできなくなってしまうのです。
僕にとって、このふたつは、似ているようで少し違います。
天井は、向こうから迫ってくる感じですが、花は自分から飛び込む感じだからです。
目で見るということは、脳が物体を認識することです。
それなのに、自分の体ごとその世界に入り込んでしまうこのような錯覚は、とてもおもしろいものだと思います。
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