山内宏泰
ルドルフ・シュタイナー展「天使の国」——黒板にのこされたメッセージ
ルドルフ・シュタイナーという名前をご存知ですか? 「人智学」の創始者として知られ、彼の思想にもとづいて子供を育てる「シュタイナー教育」というものも存在します。芸術家として名をなしたわけではない彼の個展で展示されているのは、当時の講義で黒板に描かれたドローイングや、活動の拠点とした建築「ゲーテアヌム」の資料など。独自の思想を追い求めるうちに彼が築き上げた危うげで魅惑的な世界に触れてみませんか?
東京メトロ外苑前駅からしばらく歩くと、シマシマの外観が目立つ風変わりな建物が見えてきます。この2階から4階にかけて、ワタリウム美術館の展示室が広がっています。現代美術作品を扱うことの多いスペースで、現在は、「ルドルフ・シュタイナー展 天使の国」が開かれています。
ルドルフ・シュタイナーという人物の名前、聞き及びはありますでしょうか。美術のお話ではなく、哲学や歴史、教育の分野でなら「ああ、なんとなく」という人が多いのでは? そう、シュタイナーはどちらかといえば思想家として知られている存在です。「人智学」という神秘的な考えを体系化したり、独自のメソッド「シュタイナー教育」を確立したりといった業績が歴史に残っています。

黒板ドローイング 人も植物も状況次第 1922年9月30日
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。
5525
false
この連載について
山内宏泰
世に“アート・コンシェルジュ”を名乗る人物がいることを、ご存じでしょうか。アートのことはよく知らないけれどアートをもっと楽しんでみたい、という人のために、わかりやすい解説でアートの世界へ誘ってくれる、アート鑑賞のプロフェッショナルです...もっと読む
著者プロフィール
ライター。美術、写真、文芸その他について執筆。著書に『写真のフクシュウ 荒木経惟の言葉』(パイインターナショナル)『写真のフクシュウ 森山大道の言葉』(パイインターナショナル)『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』(星海社新書)『写真のプロフェッショナル』(パイ インターナショナル)『G12 トーキョートップギャラリー』(東京地図出版)『彼女たち』(ぺりかん社)など。東京・代官山で毎月第一金曜日、写真について語るイベント「写真を読む夜」を開催中。東京・原宿のスペースvacantを中心に、日本写真を捉え直す「provoke project」開催中。
公式サイト:http://yamauchihiroyasu.jp/