松下幸之助
日ごろの訓練がものをいう/自分を高める義務
「職場は人生の道場。かけがえのない人生を、仕事を通じて自分の力で充実させていこう」――松下幸之助の超ロングセラー「心得帖シリーズ」を2冊合本にした『人生心得帖/社員心得帖』(PHPビジネス新書・松下幸之助ライブラリー)から、「中堅社員の心得」を公開します。
日ごろの訓練がものをいう
心配りの行き届いた仕事をするのが大事なことは、お互いに十分分かっていても、それを実際にスムーズに行い得るという状態は、一朝一夕には生み出せないものだと思います。
私は以前、ある会社に用事があって電話をかけました。すると、電話に出てきた人が、「社長は今、遠方に出張中で、二、三日は帰りません」という返事です。それでは仕方がないなと思って電話を切りかけると、その人が「ちょっと待ってください。何か緊急のご用でしたら、連絡をいたしましょうか」と言います。「簡単に連絡できますか」「ええ、大丈夫です」「それなら、今晩にでも電話をいただけるよう伝言してください」。
その結果、ちゃんとその夜に長距離電話がかかってきて、思ったよりも早くその用件をすませることができました。もし私が電話をしたとき、先方の人が「連絡しましょうか」とひと言言ってくれなかったら、そううまく事の処理はできなかったと思います。
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この連載について
松下幸之助
「職場は人生の道場。かけがえのない人生を、仕事を通じて自分の力で充実させていこう」――松下幸之助の超ロングセラー「心得帖シリーズ」から、人生と仕事の心構えを説く2冊を合本にした『人生心得帖/社員心得帖』(PHPビジネス新書・松下幸之助...もっと読む
著者プロフィール
パナソニック(旧松下電器産業)グループ創業者、PHP研究所創設者。明治27(1894)年、和歌山県に生まれる。9歳で単身大阪に出、火鉢店、自転車店に奉公ののち、大阪電燈(現関西電力)に勤務。大正7(1918)年、23歳で松下電気器具製作所(昭和10年に松下電器産業に改称)を創業。昭和21(1946)年には、「Peace and Happiness through Prosperity=繁栄によって平和と幸福を」のスローガンを掲げてPHP研究所を創設。昭和54(1979)年、21世紀を担う指導者の育成を目的に、松下政経塾を設立。平成元(1989)年に94歳で没。