ロロの言う通り、例のライブハウスは歩いて五分程度の距離にあった。外観は想像していたよりも現代的な建物だ。
ロロはスタスタと地下に向かう階段を降りていき、入り口の防音扉を「ちわース」と引っ張る。
「か、勝手に開けちゃっていいの?」
「ああ、大丈夫スよ。俺、ここの店長と知り合いなんで」
店内は薄暗かった。まだ準備中なのかもしれない。もう一度声をかけると、通路奥にかかっていたカーテンが少しだけ開いた。
「——客入れは八時からなんですが」
カーテンの隙間から男性の声が聞こえる。
「どうも。ご無沙汰です」
「——ん? あ……、ロロさん?」
薄暗いので顔ははっきり見えない。だが若い男性のようだ。テノールとバスの中間くらいのいい声だ。
「少しだけ時間いいスか? ちょっと頼まれごとがあってきたんだけど」
第12回 春
2014年5月19日
ロロの案内で、無事ライブハウスにたどりついた未来と理真。響のことが少しでもわかるとよいのだけれど…。
ボーカロイド楽曲の卒業ソング『桜ノ雨』をモチーフにした小説シリーズの完結編『桜ノ雨 僕らはここで逢おう』の発売を記念して、一部を公開します。
ボーカロイド楽曲の卒業ソング『桜ノ雨』をモチーフにした小説シリーズの完結編『桜ノ雨 僕らはここで逢おう』の発売を記念して、一部を公開します。
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桜ノ雨 僕らはここで会おう
もしも初音ミクが音楽教師だったら…。 卒業ソングの定番ボーカロイド楽曲として、250万回以上の再生回数を誇る『桜ノ雨』。この名曲のノベライズ第3弾にあたる『桜ノ雨 僕らはここで逢おう』の発売を記念して、その一部を公開します。