第9回 春

理真と由有の同級生で、合唱部のユウレイ部員だという響(キョウ)。彼が合唱部に来なくなった理由とは――?

ボーカロイド楽曲の卒業ソング『桜ノ雨』をモチーフにした小説シリーズの完結編『桜ノ雨 僕らはここで逢おう』の発売を記念して、一部を公開します。
♪『桜ノ雨』動画はこちらから♪


『桜ノ雨』 作詞作曲:halyosy

 ところで今更ながら—わたしには気になることがあった。
 授業と合唱部の行き来でバタバタしており、しっかりと聞いていなかった件がある。  
 在籍のみしているユウレイ部員のことだ。男子なのか女子なのかも知らされていない。  
 ここはひとまず、部長の理真に聞いてみようと思った。
「ねえ理真。前に言ってたユウレイ部員のことなんだけど」  
 え……っ、と理真の体がビクッと揺れ動いた。
「詳しく聞いてなかったけど二年生なんだよね?」
「…………は、はい」
「なんて名前の生徒なの? もう合唱部に復活することはなさそうなのかな? もしも交渉の余地があるなら、わたしから直接話しに行ってもいいと思うんだけど……?」  
 理真は黙ってしまった。横で聞いていた由有も沈鬱な表情になっている。  
 なんだろう。ユウレイ部員の話題になると、二人は途端に口をつぐんでしまうような傾向にある。何か言いたくない理由でもあるのだろうか? 
 当然、事情を知らないずん子も首を傾げている。  
 少しの間があり、ようやく由有が口を開いた。
「彼は響キョウって名前で……。僕の幼なじみなんです……」  
 男子で由有の幼なじみ……!?

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
桜ノ雨 僕らはここで会おう

雨宮ひとみ /halyosy

もしも初音ミクが音楽教師だったら…。 卒業ソングの定番ボーカロイド楽曲として、250万回以上の再生回数を誇る『桜ノ雨』。この名曲のノベライズ第3弾にあたる『桜ノ雨 僕らはここで逢おう』の発売を記念して、その一部を公開します。

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません