第2回 春

母校の音浜高校に、音楽教師として赴任してきた未来。始業式での挨拶直前に、未来に話しかけてきたのは――?
ボーカロイド楽曲の卒業ソング『桜ノ雨』をモチーフにした小説シリーズの完結編『桜ノ雨 僕らはここで逢おう』の発売を記念して、一部を公開します。
♪『桜ノ雨』動画はこちらから♪


『桜ノ雨』 作詞作曲:halyosy


 始業式といえば、やはり体育館で行われる一連の行事だ。

 わたしは音楽を教える新任の教師として、全校生徒に挨拶をすることになっていた。  
 でも出番まではまだ時間がかかりそうな気配だ。  
 舞台袖で待機していたわたしは、パイプ椅子から少しだけ身を乗り出し、体育館の様子をのぞいてみる。そこからは舞台に向かい、整列している大勢の生徒たちが見えた。  
 その光景にいつかの記憶がわーっとよみがえってくる。  
 それは高三の春、始業式から数日後に行われる“新入生歓迎会”のときの記憶だ。  
 合唱部の部長に就ついたわたしは、壇上に立ち、歌うことの楽しさや気持ち良さを、新入生にアピールする大役を担っていた。  
 でも緊張のあまり声が裏返り、それが最後まで気になってしまい、結局思っていたことの半分も話せなかったのだ。  

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桜ノ雨 僕らはここで会おう

雨宮ひとみ /halyosy

もしも初音ミクが音楽教師だったら…。 卒業ソングの定番ボーカロイド楽曲として、250万回以上の再生回数を誇る『桜ノ雨』。この名曲のノベライズ第3弾にあたる『桜ノ雨 僕らはここで逢おう』の発売を記念して、その一部を公開します。

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