僕は子供の頃から弱視で、幼稚園の頃から眼鏡やコンタクトレンズをしています。もしもコンタクトレンズという名の「ウエアラブル・デバイス」が存在しなかったら、僕の人生は、今とはよほど違ったものとなったでしょう。
人間は太古の昔から、さまざまなウエアラブル・デバイスを発明し、人間が持つ本来の能力を高めてきました。例えば服や靴。地球上に存在する動物の中で、人間だけが服や靴や帽子などを身につけ、寒さをしのいだり、危険物から足裏や頭部を守ったりしています。
そして甲冑、剣、槍、弓矢、銃器などなど。これらも一種のウエアラブル・デバイスと見なすことができるでしょう。これらの道具は、単に環境から身を守るだけでなく、僕らの能力を大幅に強化しました。人間が食物連鎖の頂点にいられるのは、僕らのご先祖様たちが、これらのデバイスを発明してくれたお陰なのです。
さらに近代以降には、腕時計や眼鏡、コンタクトレンズ、補聴器、ペースメーカーなどといった、さまざまなウエアラブル・デバイスが発明されてきました。人間の歴史はそのまま、人間の能力の拡張の歴史と言ってもよいでしょう。
Smart & Connected
そして今まさに、ウエアラブル 2.0 が始まろうとしています。今後のウエアラブルはどれも「知性を備えている」ことと、デバイス同士、あるいはネットに「接続される」ことが大きな特徴となるでしょう。そして僕らの能力や知覚を大幅に拡張してくれるものとなります。いま話題になるのは、もっぱらグーグルグラスと腕時計ばかりですが、これはホンの入り口にしか過ぎません。 義手、義足、外骨格スーツ、あるいは衣類などなど。ウエアラブル・デバイスは民間用、軍事用の双方向で、大幅に発達していくでしょう。例えば米軍は、こんな眼鏡の導入を検討しているようです。
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