【書籍化のお知らせ】
本連載は「20歳のときに知っておきたかった「雄っぱい」のこと」とあわせて大幅加筆・修正を加え、『オトコのカラダはキモチいい』として書籍化されています。新宿二丁目でナンパしたヤリチンのゲイ男性を交えて熱く語り下ろした新たな「第三章」を収録し、雲田はるこさんの美麗イラストで彩った完全版をどうぞご覧ください!
※本連載には、刺激的な内容・画像などがふくまれています。職場や公共の空間での閲覧にはご注意ください。
好きなものは好きなんだからしょうがない!
二村 「穴」の話がつながったところで、お訊きしたいんですが……、BL好きな女性は、男と男がいちゃいちゃしているのがお好きなんですよね。
金田 ハイ!(満面の笑顔)
岡田 金田さんの、いい笑顔が出ましたね。なんで好きなんでしょうかね。
金田 なんで好きって……。好きなもの好きな理由を問われても、ものすごく答えづらいですよね。すごく「いいもの」だから、としか言いようがないですけど。
二村 僕も昔から、女性と女性がいちゃいちゃしてるのを見るのが本当に好きで、レズAVはそれに始まってそれに終わるべきだと考えています。で、どうして自分がそれを好きなのか考えると「僕のことを入れてくれないから」なんだよね。
岡田 仲間はずれにされているのがいいってことですか? それ、わかるなー。
二村 客観的に遠くから、かわいいおんなのこ同士がイチャイチャしているのをのぞき見したい。「俺はみにくい男だから、そこには入れない」というマゾヒズムが、たぎるんです。
ただ、それと同時に「俺も女の子に変身して、レズの輪の中にまぜてもらいたい」という欲望もあります。同じレズでも、ふたなりモノというジャンルがありまして、これも実写AVでは僕が日本で初めて撮ったと思います。特殊メイクでフェイクのペニスを女優さんの股間に装着させるんですが、「チンコの生えた女性は、俺の分身だ!」っていう不思議な感覚になりました。
金田 腐女子のなかにもいろいろな意見があると思うんですけど、「仲の良い男同士の間に女の自分が入りたい」とは思っていない人が多いと思います。「かっこいいキャラと付き合いたい」って思うタイプの人達はBLとは別に「ドリーム」(※1)と呼ばれる作品で楽しんでいますからね。もちろんそういう楽しみ方もあっていうと思うのですが、個人的には、あれが全く分からなくて。「二次元に決まってんだろ! 三次元の自分を入れるなよ!」みたいな。それに、二次元かどうかにかかわらず、自分が入ると世界観が壊れてしまうじゃないですか。
※1:ヒロインの名前を読者が自由に設定し、意中のキャラクターと自分の恋愛を楽しむことのできるウェブ上の小説作品のジャンル。名前の設定は読者が閲覧前にCookieやJavaScriptなどで名前を登録しておくことで可能になる。
二村 自分が入り込むと、その世界観が完結しなくなるってことですね?
金田 そうです。自分が入り込むことで、すでに私が好きだったそのキャラは、そのキャラではなくなってしまう。その世界のそのキャラが好きなのに。なんでわざわざ、私自身が「キャプテンお疲れ」とかいってタオル渡しにいって、世界観を壊さなきゃならないんだ! って感じです。
岡田 私もドリームは苦手だなぁ。自己評価が低いせいでしょうが、もしも私が超絶イイ女だったら、と夢想する前に、貴様ごときがおこがましいわ! って自分で自分に腹が立っちゃって、没入できない。
好きなキャラに対しても、「こんな私ごとき、クズみたいな女に惚れて、ドリームなラブを迫ってくるような男じゃなかったはずだ、お前は! もっと高みを目指せ!」という気持ちですね。「私の愛した○○様は、私なんかに声をかけて壁ドン(※2)するような、そんな安い男じゃない!」っていう。それで、三次元の読者である私のことなんか当然見向きもせずに、二次元世界の中で意中の相手やライバルのことばかり考えて、ストーカーのように尻を追いかけ回してる変態めいた姿を見ると、安心するんです。
※2:相手の逃げ場をなくすため、壁際に相手を追い詰め、「ドン」と腕をついて腕と壁でその人を囲むこと。イケメンにされると萌えるシチュエーションとしてネットで話題に。
金田 そうそう。「私の好きなあのキャラは、私なんかに時間を使うほど、暇じゃないだろ」と。
二村 あ、「男同士で掘り合うのに忙しいだろう」ってこと? 「私を相手にしている暇はない」と……。
金田 はい、路地裏でチンピラに輪姦されるのにすごく忙しいはずです!(いい笑顔)
レズAVで男の登場が許される唯一のパターンは?
金田 私が作中に入るんだったら、キャラを路地裏で輪姦する、モブのチンピラにはなりたいとは、常々思います。
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