3月17日に、愛知県刈谷市の小中学校が、「夜9時以降は子どもの携帯・スマートフォンを親が預かる」という呼びかけを4月から保護者に対して行うことになったと、共同通信が報道しました。
このニュースに対しては、生活の党の三宅雪子・前衆院議員が「日本が窮屈になる」とTwitterでつぶやいたのをはじめ、当初は「学校が家庭のしつけにまで介入するなんておかしい」「子供たちにITを使わせずに禁止するだけでは何も解決しない」「こんなルール、誰も守らないだろ」などの、否定的なコメントが多く寄せられていました。
しかし、私はこの刈谷市の取り組みは、少なくとも現時点ではこれらの批判が出ることも想定したうえでの、非常によく考えられた対応だと思っています。
相次ぐ「スマホ禁止」、元凶はLINE
私自身、小学生の頃からPCをいじり倒して育った経験があり、もっと日本の子供たちが小さい頃からITに触れる機会が増えれば良いのに、といつも思っています。なので、学校の都合でPCやインターネットを禁止することには、基本的に反対の立場です。
しかし、教育の現場では、もはやそうしたオプティミスティックな主張がすんなりと通らないところまで来ています。
少し前の話になりますが、2010年1月には、石川県が県の「いしかわ子ども総合条例」を改正し、小中学生には携帯電話を持たせない、高校生にはフィルタリングを徹底することを保護者に求める条文を盛り込みました。また、今年1月には鳥取県米子市のPTA連合会が、小中学生にスマホを持たせないように求める緊急アピールを発表しています。
そしてこの3月には冒頭にご紹介した刈谷市の発表があったわけですが、既に個別の学校や地区単位で似たような「禁止令」を通達しているところは、全国くまなく調べればもっとたくさんあるだろうと思っています。
なぜ、最近になってこうした話が増えてきているのでしょうか?
小中学生における携帯電話の普及率は、さほど上がっているわけではありません。日本PTA連絡協議会の調査によれば、中学2年生の携帯端末普及率はここ数年40〜45%を推移しており、毎年1〜2%増えつつあるものの、それほど急激に増加しているわけではありません。
目立った変化は、その内訳です。24年度の調査では、中学2年生の持つ携帯電話の3台に1台が既に「スマートフォン」になっていることが分かります。現在はこの調査から1年以上経っていますので、この比率はもっと上がっているでしょう。
スマホの普及に伴って若年層にもユーザーが広がっているのが、LINEです。実は、刈谷市をはじめ、多くの地域で懸念が広がっているのが、LINEによるトラブルです。
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