今だから言える、東大受験の思い出
大石 能町さんが東大を受験したときは、どんな感じだったんですか?
能町 どう語ったらいいかな……。私、本当に、自分が東大入ったのはまぐれだと思ってて。東大に行こうと思ったのは高2の12月くらいで、ものすごく遅いんです。それまでは、北海道が好きだからっていう理由だけで北海道大学に行きたくて。でも成績的にもっといけるって先生に言われて、せっかく行けるならと思って、なんとなく京大か東大を視野に入れ始めたんですよ。
大石 そうだったんですか。
能町 でもホントに受験勉強は嫌いで、努力したくなくてすぐ諦めたんですよ。というか最初からほぼ諦めていたのかもしれない。自分に強制しないと何も勉強しなさそうだから、高3の夏になって予備校の1週間の夏期講習みたいなのにむりやり申し込んだんですけど、行ってみたら予習なしじゃ全然分からなくて、すごい自己嫌悪になって。柏の予備校だったんですけど、途中で授業抜けて電車に乗って上野に行ってしまったり、かといって行くあてもないからすぐ戻ったり……親にお金払ってもらってるのにってすごい罪悪感を覚えながらも、最後の2日はサボりました。
大石 その後はどうだったんですか?
能町 その頃は、やりたいこともないしどうせ無理だから東大受けよう、みたいな、変にヤケクソな気持ちになってましたね。11月くらいに、さすがにこれはマズいと思って、嫌いだった世界史の教科書を最初から読み始めたんですよ。なんにもしないよりマシかなあって。だから、受験勉強は世界史の教科書をひたすら読んだ記憶だけあるんですけど。
大石 多分能町さんの場合は、周りの環境が東大行くのが当たり前みたいな環境だから、東大を目指すことに特別な感覚がなかったのではないでしょうか?
能町 当たり前ってほどじゃないですけど、進学者数は多かったです。
大石 私の受験がこういうふうになってるっていうのも、環境によるものって結構あるので。
能町 そういう高校からよく入ったなあとは、『妄想娘』を読んで、正直思いましたね。私は進学校だったから、逆に先生が熱心じゃないんですよ、自主性にまかせてる感じで。いちいちうるさく言われる感じはなくて、私はそこに甘えてなんにもしてなかったんですけど。
大石 成績が悪めの子の方に先生が一生懸命になってた?
能町 そういうわけでもないかな。でも、少なくとも東大目指すくらいの人にはあんまりうるさく言ってこなかった印象があります。受験対策なんて学校でやってたかな? あんまり覚えてない。淡々と普通に授業やってたような気がする。
大石 東大に入ってみるとそういう人が多かったのにびっくりしました。淡々とやってて入った、みんなそういう感じでしたね。
能町 私もわりとそういう人のほうが気が合いましたね。地方の県立高出身者とか。
大石 あと兄弟で東大とか、そういう家の人も結構いるし。
能町 家とか親戚とかに東大の人います?
大石 いないです。
能町 私も、うちの家系では初めてでした。親戚は大学行ってないほうが多数派だし。だから東大なんて高校入るまでは目指す選択肢にも入ってない感じ。他人事で、すごいなーって思ってた。未だにうちの親は私が東大卒だっていう実感がないと思います。
大石 それってプレッシャーとか、逆にすごく喜ばれたとかあるんですか?
能町 プレッシャーはなかったですね。大石さんは喜ばれました?
大石 喜んだというか、私がよかったね、という感じ。がんばってたから良かったね、夢叶ったから良かったね、という。親が自分のこととして喜んでるのとは違いました。
能町 うちもそうですね。
あこがれはタモリさん?
大石 能町さん、すごくおしゃれじゃないですか。全体のファッションのまとめ方が素敵だなっていつも思うんですけど、コツとかあるんですか? どういうのがお好きとか、こういうものに惹かれるとか。