別れ

重度の自閉症を抱えながらも、社会を鋭く見つめている作家・東田直樹さんの連載です。
少しずつ日差しが暖かくなってきた今日この頃。この、冬と春の境目である三月は、卒業や転勤、引っ越しなどが多い「別れの季節」でもあります。それまで共にすごした人々と別れるとき、東田さんは、どのようなことを感じているのでしょうか。「別れ」への思いが深まるような、今回のコラムです。

 もう二度と会えないような相手と、別れを惜しんだり、涙したりするのは、誰にでもあることでしょう。

 昨日までは、一緒にいるのがあたりまえだったのに、明日からは、全く別々の場所で生きていかなければいけないのは、ある意味とても不思議です。
 会うことができないだけで、相手が自分とは別世界の人に感じてしまうからです。

 最初は違和感があっても、時間と共にずっと前から、その人はいなかったような錯覚さえ覚えます。そして、何事もなかったかのように、いつもの毎日が続くのです。

 僕はこの感覚が、とても重要なものではないかと考えています。

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跳びはねる思考—22歳の自閉症作家が見た世界

東田直樹

「僕は、まるで壊れたロボットの中にいて、操縦に困っている人のようなのです。」 会話ができないもどかしさや意に沿わない行動をする身体を抱え、だからこそ、一語一語を大切につづってきた重度自閉症の作家・東田直樹。 小学生の頃から絵本...もっと読む

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