自由の答えを出すのはあなた自身
まず聞いておきたいことがあります。
あなたは自由を得てなにをしたいのでしょう。
いくつでもいいから書いてみてください。考えるだけでなく、メモしてください。
頭のなかで思ったことはすぐに変化し、忘れてしまいます。だから書き記すことが重要です。
人が自由を求める理由は、つきつめるとひとつです。
「不自由だから」
言葉にすればこんな簡単なことですが、そこに至るまでの経緯は人の数だけあります。
最終的に答えを出すのはあなた自身です。この本は、いわばあなたが考える手助けをするための型やケーススタディ、凡例集のようなものです。
ショウペンハウエルの『読書について』の有名な一節に、こうあります。
〝読書は、他人にものを考えてもらうことである。本を読む我々は、他人の考えた過程を反復的にたどるにすぎない。(略)だから読書の際には、ものを考える苦労はほとんどない。自分で思索する仕事をやめて読書に移るとき、ほっとした気持になるのも、そのためである。だが読書にいそしむかぎり、実は我々の頭は他人の思想の運動場にすぎない。 ”
あなたがもし本を読んで楽になるとしたら、それは問題が解決したからではなく、なにも考えていないからである可能性があります。
思考の過程を書き込む意味でも、メモすることをおすすめします。
いろいろ働いてはみたけれど ……
さて、人はなぜ自由を求めるのでしょうか。
そこには様々な経緯があると書きました。
最初に個人的な話をしておきましょう。
今、僕は文章を書いて生活しています。
けれども、それ以前には会社勤めをしていたし、フリーター的な働き方をしていたときもありました。
土木作業員、ホスト、デザイナーまで、それこそ出来ることならなんでもやりました。
そうしたことを経てきて、いまの文筆業というのが、一番自由だと思っています。
29歳で本を出すまで、いろいろ働いてきましたが、いつも何かしらの不自由さを感じていました。
決して大ベストセラーを出しているわけでもないですから、収入はそこそこです。
けれども、僕の場合、時間的な拘束がどうしても我慢できない性質なのです。
たとえ「朝9時に近所の電柱にタッチして帰ってくるだけのお仕事です」と言われても、つらくなってしまうでしょう。
内容がどうとかではないんです。
毎日、誰かに決められたことを決められたようにこなすというのが、もう苦痛だということです。
監獄のような高校時代
僕が自由になりたいと思うようになったのは、昔、不自由だったことへの反動です。
一番不自由さを感じていたのが、高校時代です。
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